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魔女ベアトリーチェへの手向けとは?

■EP6を読む
 EP6は大きく、3本のテーマを持って描かれます。
・ベアトリーチェとバトラの話
・碑文殺人の代わりに行われる、ゼパルとフルフルのゲーム
・八城十八と縁寿
 それぞれを、個別に見ていこうと思います。


■ベアトリーチェとバトラの物語

 EP6には雛ベアトリーチェと姉ベアトリーチェという二人のベアトリーチェが登場し、物語のクライマックスでゲームマスターとして覚醒し、バトラと結婚します。
 象徴的すぎると思われる、この物語を紐解いていきたいと思います。

・雛ベアトリーチェとは何か
 EP5でこの世界の全てに至った戦人はゲームマスターとしての権利をラムダデルタに認められ、ベアトリーチェのゲーム盤を務めることで、領主の権利を獲得を目指します。これは、ベアトリーチェを眠りにつかせることを目的としていました。
 そこで、ルールからベアトリーチェを組成します。これは、ゲームに必要な駒であり、ルールの擬人化でありました。ルールを理解しているなら、以前と同じになるはずなのに、ゲームマスター・バトラの生み出したベアトリーチェの振る舞いは、素直で甲斐甲斐しく、彼女は彼をお父様と呼んで慕います。

 これはベアトリーチェの構成要素うち、紗音の戦人へ恋心の擬人化、それもバトラの考える紗音の恋心だからです。バトラは彼女の6年間の苦悩を理解できません。これは、男性だから(性差、個人差)、1986年10月6日に記憶喪失になってしまってから、という二つの理由があると思われます。

・姉ベアトリーチェとは何か
 一方、新しきベアトリーチェは自身をベアトリーチェの卵、あるいは雛と捉え、バトラの期待する以前のベアトリーチェになるために努力を始めます。彼女はバトラを慕い、尽くし、いつかバトラに自分を認めて欲しいと願っていたからです。以前のゲームマスターのベアトリーチェの行ったゲーム盤の物語を読み、その後の、誰もいなくなった肖像画の前で、彼女は自分とそっくりの、ゲーム盤の中のベアトリーチェにそっくりな古風な話し方をした女性と出会います。彼女もまた、自身をベアトリーチェと名乗ります。二人はそれぞれ、お互いに自身の欠落を見出し、二人で一つになり、一なるベアトリーチェになることを目指します。雛ベアトリーチェのことがあとで生まれた、ということから肖像画で出会ったロングヘアを結わずに垂らしたブレザー姿の女性は姉ベアト、雛ベアトリーチェは彼女から妹と呼ばれるようになります。妹は姉に魔法の手ほどきをうけ、カップの中にキャンディーを生み出す手品の練習をします。それは、かつて真里亞にキャンディーを与えたのと同じ魔法でした。

 姉ベアトリーチェとは、六軒島の魔女伝説の擬人化です。EP7によれば、紗音は魔女ベアトリーチェを名乗り、真里亞に手品を披露し、魔女と認められるという描写があります。
 魔女伝説は紗音が幼い時から六軒島に存在するもので、EP6では悪食島の幽霊が次第に魔女伝説に変わっていったという描写があります。
 EP7によれば、この姉ベアトリーチェの外見は紗代が魔女ベアトリーチェとして振舞っていたときの戦人と親密になり、肖像画が掲げられる前のものと同一でした。

・GMバトラの苦悩
 以前の魔女とは違う姿にバトラは彼女に苛立ち、どうして自分の生み出したベアトリーチェは以前のようにならないのだと苦悩します。
 そこで、彼はひとりきりの部屋で、ベアトリーチェや煉獄の七姉妹を始めとした魔女の眷属たちを呼び出し、自身の悩みを打ち明けます。ひとりきりの彼の部屋に現れたベアトリーチェの亡霊は、「彼女を妾と思わずに、死して妾が残した忘れ形見、つまり娘と思え」と言いました。バトラはこの言葉に感銘を受け、新しきベアトリーチェとの接し方を改めます。

 これは、そのままその後、八城十八となった未来の戦人と思われます。彼は、その後、伊藤幾九郎◯七五六としてインターネットに偽書を発表します。記憶喪失になった十八の中に残っている戦人のそれは、断片的なものしかなく、六軒島の事件はただただ恐ろしいく、事件の真相に迫っていくだけでも様々な苦労があったのではないかと想像できます。
 自身を右代宮戦人と思えない彼は、彼の親族や想い人のことを勝手に書いてしまうことも憚れれることだったかもしれません。とにかく、死んでしまった安田紗代と面白おかしく六軒島事件を発表する世間と戦うため、執筆しようと決意するだけでも、それは大変なことだったと思います。
 また、EP3からEP5と同名のタイトルの偽書がインターネットに発表されたとEP6にありました。EP3のベアトリーチェはEP2までの残酷さや魔女らしい古風さが強調されていました。EP3からのベアトリーチェはそれを残しつつも、残酷というよりただ乱暴な言葉づかいや、「戦人に認めてほしい気持ち」が強調され、EP2までのそれより女性らしいキャラクターとして描かれます。お淑やかな性格より、ラフな性格の女の子が好き、という戦人の好みもこのキャラクターに反映されています。
 これこそが、紗代と戦人(十八)の共同幻想のベアトリーチェで、順番的には十八が一番最初に苦労した部分なのではないかと思われます。



■ゼパルとフルフルの恋の試練
・黄金蝶のブローチ
 EP2に、ベアトリーチェが紗音に黄金蝶のブローチを与え、譲治との恋を励ました、というエピソードがあり、EP6ではそのブローチを紗音が嘉音に譲ります。嘉音は、このEP6で朱志香への好意をはっきりと紗音に示します。
 恋を成就させるには、魔法が必要なのです。そのための鍵が、このブローチ。嘉音が踏んで割ったので、紗音・嘉音は1つずつ持ち合っているといい、再び一組の姿に戻せば、家具とニンゲンが結ばれる奇跡の力を、再び蘇らせると語ります。また、この魔法は雛ベアトリーチェにも享受できると姉ベアトリーチェは語ります。
 この説明とともに、「恋の試練」がはじまり、ゼパルとフルフルという二人の悪魔が登場します。

 戦人が無礼な客人をからかってやろうと音頭をとって始めたのがEP6のゲーム盤の内容です。魔女から碑文の謎を解けという手紙は届かず、その代わりに開催されるのがこの恋の試練です。
 EP4までのベアトリーチェのゲーム盤とは違い、これこそが安田紗代の内面の葛藤として描かれます。すべての恋は実るチャンスは平等であると示される点も他のEPとは大きく異なる点です。

・恋の試練、第一の晩
 恋の覚悟があるなら誰か一人殺してこい、とゼパルとフルフルに言われた若者たちはそれぞれ、試練を達成します。雛ベアトリーチェもこの試練を受け、戦人への気持ちを誤魔化さないと認めます。


 ゲーム盤での内容は、譲治は絵羽を、朱志香は霧江を、嘉音(もしくは紗音)は楼座と真里亞、戦人は夏妃に声掛けをし、戦人自身は客室で死んだふりをします。

「ゼパルとフルフルに聞いた。……おかしなゲームが始まっているようだな。」
「は、はい…。勝手なことをしてすみません……。」
「いや、いい。そういう無軌道で何を始めるかわからないところも、実にお前らしい。
……それにその、…まぁ、ゲームの趣旨も聞いてる。二人一組で挑むのが正しいことになってるらしいな。




 また、このセリフから、このゲームはGMバトラの主催で無いことも判ります。このEP6においては、安田紗代は自分の葛藤に自分自身で決断していきます。これこそが、戦人の紗代へのメッセージではないかと思います。

・恋の試練、第二の晩
 第一の試練は全員が合格でした。その後、ヱリカの出してきた青き真実を赤き真実で否定出来ないバトラは時間の止まった客室に一人で閉じ込められ、雛ベアトリーチェとは離れ離れになってしまいます。これをきっかけに、雛ベアトリーチェはこの恋の試練への出場資格を失います。
 雛ベアトリーチェは恋の試練の場所に居ながらも、気がかりはバトラのことでした。彼を密室から救うには、残りの恋人達をみるといいというゼパルとフルフルの進言を受け、決闘を観戦します。結果は紗音の勝利で、それを受けて、嘉音と雛ベアトリーチェは消えてしまいます。状況を受け入れる嘉音ですが、雛ベアトリーチェは何のことだか理解できません。彼女の何よりの疑問は、どうして自分が右代宮戦人が好きなのか、ということでした。バトラをお父様と呼んだ彼女は“お母様”という存在に問いかけをします。
 “お母様”は信託と呼べる言葉を雛ベアトリーチェに授けます。彼女はどうして自分が戦人が好きなのか、姉ベアトリーチェは何なのか知ります。そして魔女の姿勢と話し方を嘉音に教わり、彼の助けも得られることとなりました。
 いつまでたっても客室から出てこないバトラに痺れを切らし、ベルンカステルはヱリカの後見人となり、彼女に真実の魔女になってこのゲーム盤の領地を全て相続しては、と申し出ます。そのためにはバトラと婚姻をして、領主の指輪を得るべきだと主張し、結婚式の準備をラムダデルタと共に進めます。
 ベアトリーチェはかつてのゲームマスターとしての貫禄を取り戻し、嘉音の助力を経て、古戸ヱリカの結婚式に乱入し、決闘を申し込みます。ヱリカはベアトリーチェに破れ、退場します。

 ゲーム盤で行われた内容としては、紗音が戦人を助けに行ったという内容になります。(赤字の抵触等については偽書作家テストをご参照ください)自身の恋する気持ちを一つにした安田紗代ですが、このドッキリの音頭の取っている戦人の指示以外で、自分の準備した内容のトリックを使い、不可解な事件を起こす、魔女幻想の担い手となりました。はっきりと紗代がもう一度、共同幻想による「魔法」を使った瞬間でもあります。
 雛ベアトリーチェの擬人化の元であった、戦人の思う、紗音の恋心に紗代自身が魔法を使ったことに寄るリンクが生まれ、これが雛ベアトリーチェが受けた信託のようなものの正体ではないかと思います。
 つまり、この瞬間、魔女幻想の担い手は戦人から紗音になりました。これを経て、ベアトリーチェは復活したのです。

・ベアトリーチェの復活、黄金郷
 古戸ヱリカとベアトリーチェの対決、その勝利を受け、結婚式はベアトリーチェとバトラのものとなり、二人は結婚します。ベアトリーチェの領主の指輪はバトラのものとなり、ベアトリーチェは領主夫人となりました。二人は永遠の愛を誓い合います。
 嘉音はバトラを救出したことで叙勲を受け、朱志香との仲を認められ、また、ゼパルとフルフルの試練を耐えぬいた譲治と紗音も受勲を受け、婚姻を認められました。

 爆発し、死後の世界での様子となります。黄金郷で幸せになる、という記述は何度かありましたが、具体的に3組のカップルが誰とも破綻せず描かれる様子が初めて描かれました。
 EP7でも、ベアトリーチェはきっと満足して眠りについただろうというワルギリアの言葉と、Dawnの本を棺に収める戦人の姿が描かれました。

■八城十八と縁寿
 偽書など、EP8に続く、1998年の世界を考える上で、様々な設定が出てきます。
 ただ、縁寿はこの物語の内容に納得が出来ません。黄金郷でみんなが幸せに、と物語が語っても、縁寿の所に誰も家族は帰ってこないからです。
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「名称トリック」が持つ物語的な意味

 EP3の南條殺し、EP6の客室のチェーン密室。この解法として、私は複数の名前をもつ名称トリックを基軸にして反証してきました。今回は、そのことが持つ名前がもつ意味を物語的に論じていきたいと思います。

■社会的な人格
 私は人格という言葉を使うのを極力考察の中で避けています。というのは◯◯人格という言葉を、社会的人格、役割のように捉えているからです。
 仕事をするときと、親しい友人とくつろいでいる時、恋人と二人でいるとき、ひとりきりの時、それぞれ微妙に性格が違うことは多く、時には、ある一面しか知らない人がいきなり別の面をつきつけられたら混乱するほど性格が違うように感じることあったりするのではないかと思います。
 そして、それを一言で表したのが名前だと思います。真里亞が、それを一言でまとめてようなことを言っています。

真里亞「形が依り代となるように、名前もまた、強力な依り代なの。異界の未知の存在は、名前を与えるだけでも、その魔力を大きく増すんだよ…!!
 だから名前は大事なの。うー!」
(略)
ベアトリーチェ「名前も立派な依り代である、か。……味わい深い話であるな。」
真里亞「依り代として、姿はとても大事だけど、名前も負けないくらい大事なの。」
ベアトリーチェ「道理であるな。名も知らぬ者よりも、名を知る者の方が強く印象に残るものだ。」

 EP7 「黄金郷への旅立ち」より



 うみねこには名前に関する記述が多く、譲治と紗音はみんなで居る時はかしこまった名前で呼び合ってるけど、二人の時は別の名前で読んでいる。朱志香は家では朱志香と呼ばれているけど、学校ではジェシというニックネームで呼ばれていて、自由に振舞っている。金蔵はゴールドスミスというペンネームで怪しげな魔術の論文を書いている。うみねこ散に入っても、福音の家から来た若い使用人は、仕事中は祝福された名前で。そしてオフになったら、馴染みのあだ名で使い分けていました。幾子は記憶を失って不安定な人物に十八という名前を与えて、その人物の精神を安定させるのに一役買いました。縁寿は新しい人生を歩むのに、新しい名前をつけることにしました。つまり、ある人物をその名前で呼ぶと、その人物はそのような存在になっていくのです。

■安田紗代のもつ名前
 安田紗代という人物は、最初は物をよくなくす、仕事のできない使用人で、ヤスとからかわれ、友だちはいませんでした。紗音という、本来の自分に与えられた使用人としての名前にふさわしい、仕事のできて優しい理想の自分を思い浮かべては、日々を過ごしていきます。物をなくすのは魔女ベアトリーチェのしわざであると熊沢に教えられ、それを信じます。(要はこの時点では物をなくすという概念の擬人化が魔女ベアトリーチェ) 

 
 やがて、仕事を覚えて、紗音の名前にふさわしい、自分がこうなりたいと思っていた自分に近づいていきます。いじわるな先輩は辞めていき、安田紗代は一番の先輩になり、後輩に指導する立場になりました。しかし、後輩たちは不真面目で安田紗代こと紗音を尊敬することはなく、時折忌まわしいあだ名のヤス呼びをする始末。 
 

 そこで、紗音は、後輩の鍵を隠し、「魔女ベアトリーチェが隠した」と言います。ここで設定を変更し、自分は魔女に、紗音は幻想に…という描写がなされますが、要は、どっちも安田紗代の脳内で起こったことだと思います。一人でいるときに、脳内で呟く独り言が魔女っぽい感じで過ごしているだけだと思うんです。やっていることは学校へ行き、真面目に紗音として仕事に行き、たまに後輩にイタズラをし、自由な時間は趣味の読書で魔女っぽく脳内でツッコミを入れたり、物をなくす魔女とおしゃべりする程度です。(どっちも脳内会話) 
 そんな時、魔女は紗音を魔女の仲間になろうと誘いますが、紗音は「人間の世界には魔女よりも楽しいことがあるから」と断ります。言うまでもなく、それは従兄弟組との交流です。やっと同世代の友人ができた安田紗代はもう幼稚なごっご遊びを卒業しようと思ったのだと思います。 
 趣味の読書を通じて戦人と親密になり、将来の約束までしてしまう紗音。しかし、思うように事運ばず、そのことで思い悩む事が増えます。結局、一人で悩むことが多くなり、魔女の友人たちも意見を聞く始末。これも、単に誰にも相談できず悩んでただけです。(要は脳内会話) 

 そして、戦人のことを諦めようとするのですが、ここで「ベアトリーチェに恋の芽を預ける」という方法をとります。戦人のことが好きだったのはベアトリーチェであって紗音じゃない。そう思うことで、この悩みを終らせようとします。これは例えば「仕事の時はこのこと考えるの辞めよう」とか「物理的に考える時間減らして気負い過ぎないようにしよう」ってことなのではないでしょうか。物理的に考える時間減らすために、嘉音を生み出したのだと思います。嘉音の設定を考えたり、嘉音に仕事を教えるという体裁で、仕事の復習をしたり、メモをとりなおしたりしていたのではないかと思います。 
 
 ということで、私は全体的に多重人格者やそれに類するものとして安田紗代を捉えていません。

 
 次に、偽書作家テストの項目になった、赤字の使用人が犯人であることを禁ずについての反証について。
 これは単にゲーム盤の登場人物の紗音と、現実世界のヤスこと安田紗代はちがうということでいいと思います。彼女は使用人でありながら、碑文の謎を解いた次期当主であり、三代目ベアトリーチェでありますから。紗音(または嘉音)は使用人であるって言われたら、紗代だ、理御だ、ベアトリーチェだって言えばいいんです。この3つの名前は、使用人としての名前ではありません。そして、紗音の本名の紗代は多くの人が認め、現状でそう認識している名前であり、おそらく彼女が通っていた学校でもその名前で通っていたでしょう。理御も十分に今後、改名などで社会的に認められる可能性のある名前です。 
 
 それに、この赤字は原典のヴァン・ダイン「端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。」を改変したものです。もともとの意味を考えれば、紗音はEP1から登場しているメインキャラで、全然端役ではありません。 

 

 一般にはヤス=ベアトかつベアト=紗音+嘉音やヤス=ベアト+紗音+嘉音といわれていますが、私は単にこれらを名前でしか区別していません。 
 
 
 安田紗代(本名)
=ヤス(昔の嫌なあだ名)
=紗音(使用人としての名前)
=嘉音(男として生きる為に名乗った使用人としての名前)
=ガァプ(かつてのイマジナリーフレンド。真里亞に命名され、存在が復活する)
=ベアトリーチェ(碑文の謎を解いたことによって得た称号であり、自らの血縁を示す名前)
=理御(金蔵が安田紗代に与えようとした名前)
=嘉哉(嘉音の本名という設定の名前。男性として生きることを選択した場合、この名前になる) 

 
 と、どれかが表の顔で、どれかが裏の顔姿。しかし、それは一つだけが本当で残りが嘘というよりは、どれも本当なんだと思います。あくまで、その時に、表に出ているというだけ。

■恋をする資格
 EP4までのベアトリーチェがゲームマスターを務めるゲーム盤世界ではこれでなんの問題もないのですが、EP6のバトラがゲームマスターを務めるゲーム盤では、誰が誰と結ばれるかということに焦点が当てられました。これは、人生や生き方には様々な可能性があり、その人生には伴侶がいるということを示していると思います。
 
 人は恋愛だけをして生きているわけではありません。社会的な活動を行っているのです。肉の体を維持するためには、労働や生活の糧が必要です。精神的な充足を得るためにも、人の世では自分の個性にあった活動をして、人から認めてもらうことが必要だとうみねこでは繰り返し描かれてきました。
 バトラはベアトリーチェに、「ゲーム盤の外に連れ出せる」と言いました。譲治は紗音に、「素晴らしい家庭を築こう」と言いました。朱志香は嘉音に、「もし良かったら、一緒に音楽活動をしよう」と言いました。誰を選ぶか選択をして、人生の可能性を一つに集約させたとき、その後はこのような人生が待っていたんだ。現実には死を迎えて全てが無に帰ってしまったとしても。私は、EP6のテーマのひとつに、そのようなことがあるような気がします。

 うみねこのゲームとしてのジャンルはサウンドノベルですが、一般に言われるサウンドノベルというのは分岐のある形式でマルチエンディングのアドベンチャーゲームのことを指します。
 うみねこには選択肢はありません。けれど、選択をすることで、描かれる別々の人生は、マルチエンディングそのものだと思いました。




ボトルメール考察

 ボトルメールついては、ひとことでいうと「犯行計画書」だと思っています。あくまで犯行計画書なので、犯人の計画が、計画通りに進行している体裁で書かれているという事です。「犯行記録」でなく「犯行計画書」を元にした小説だという事に着目して下さい。

 よく、「うみねこのなく頃に」の推理をしているプレイヤー間で変装が見破れないのがおかしいとか、死体の匂いに気がつかないのはおかしいとか、銃声は音がとても大きいためで気がつかないのはおかしいとか、そういった事が議論になる事があります。私はそれを、主犯であるヤスが気がつかなかったとしています。竜騎士07先生自身も、「雨で濡れるという概念がないのはおかしい。女性だったら、台風の中でなにかしたら化粧も落ちているはず」と「最終考察 うみねこのなく頃に散」でおっしゃっています。EP1の終盤から、「うみねこ」のお話は完全な客観ではないことは示されているので、それを手がかりとした一つの推理と捉えていただいて構いません。
 もちろん、この犯行計画書を元に実際に連続殺人行ったら、変装は見破られてしまうかもしれませんし、犯人を言い当てられて警察に突き出されてしまうかもしれません。用意していたミステリーのお約束のトリックでは、実際に人は死なないかもしれません。しかし、それらを理由に書く事をやめてしまったら、犯行計画書はいつまでたっても完成しないのです。そして、ひとつひとつのEPを細かく検証して行くにつれ、ヤスが本気で計画しているように私には感じ取れました。これは、私の自分自身の考察をもとにそう考えたので、考察の内容によって、ヤスやベアトリーチェに対する感情の違いで変わってしまう、極めて主観的なものだと思います。

 計画と実際がちがうというのはよくある話で、ひとつたとえ話をしたいと思います。題材として、封筒を選びます。設計図の段階で問題なかったとしましょう。設計の段階では一般的なコピー用紙に印刷紙、無事組み立てる事ができたとします。しかし、実際に商品として使う専用の紙に印刷をしたときもう一度確かめる必要があるはずです。紙の厚さ、本当に組み立てられるのか?インクの色、紙と同化しないのか?糊で貼付ける。本当に張り付くのか?組み立てた事による誤差、厚みで字が内側に入って見づらくなっていないか?中に自分の入れたいカードなどが本当に入るのか? 考えれば判る事と、実際にやらないと判らない事があるはずです。また、実際にやったことの二次的な作用で、想定しない不都合が起こりうる可能性もあります。
 これを、ボトルメール、私の説でいうところの犯行計画書として捉えた時も、考えれば判る事、実際にやらないと判らない事、想定しない事、準備で出来る事には限界があると思います。
 例えば、爆弾の火薬が生きているか、本当に爆発出来るかはEP2の祠の鏡を割るくだりで検証出来たとEP7で語られていますが、EP2の凶器消失トリックで本当に人が死ぬかは実験ができないはずです。変装についても、別の人物に見破れなかった変装が、戦人に見破れないとは実際に行わない限り判りません。しかし、EP7のクレルとウィラードの対話を見る限り、彼女はそれをもって良しとしているのです。

 また、爆弾のことは検証出来ているので、ある程度の不都合は爆弾の爆発によりカバー出来ると考えていたのかもしれません。


 そして、実際のボトルメールを我々はサウンドノベルで読んでいる訳では無いという事。作中でボトルメールのそのものの文面は登場していないはずです。各EPの内容はどれも膨大であり、とてもワインボトルの中に入れる内容だとは思えません。30ページくらいの大学ノートに入るくらいがせいぜいなのではないでしょうか。

偽書作家テスト EP6

1.【各所で発見される死体・恋の試練の6人殺し】の犯人と方法は?
 作中のヱリカの推理の通り。戦人たちの狂言殺人であり、当初は誰も死んでいなかった。

2.ゼパルとフルフルによる恋の試練と決闘が描かれた意味は?
 ゼパルとフルフルは男女が決定しない。ゼパルが男なら、フルフルがその逆(女)になる。ゼパルが女なら、フルフルはその逆(男)になる。これは紗音と嘉音の関係を示唆するヒントである。紗音と嘉音は別人だと言えば、今度は同一人物だということになり、紗音と嘉音は同一人物だと言えば、別人になる。EP4までは紗音と嘉音は当ブログでも別人でも同一人物もどちらでも成立するロジックを提出して来た。
 恋の決闘は、紗音が譲治と戦人のどちらを選ぶか、ということにとどまらず、朱志香に恋心をずっと寄せて来た嘉音にも結ばれる可能性や、同じ土俵にたって勝負するべきであるというバトラの意思が現れているようにも思える。

3.回想シーンで戦人が女性の好みを語った相手は誰?
 紗音。戦人との恋愛に関わる人物は彼女しかいない。

4.「お母様」の正体と、彼女がベアトリーチェに恋心を託した理由は?
 紗音。譲治を選んだ自分の代わりに戦人を愛する役割を与えた。

5.紗音と嘉音はどのような関係?
 設問6.の回答により、同一人物であるとする。関係としては紗音が主であり、嘉音が従とする。嘉音の存在意義や詳細異議などの細かい考察については別のエントリーで解説する。以前のEPの嘉音の存在については、このEP6公開以前は別人である可能性も、同一人物である可能性もあったが、このEPにより彼は紗音と同一人物だと決定されたものと当ブログでは結論する。

6.いとこ部屋にいたはずの嘉音が脱出した方法は?
 嘉音のいるいとこ部屋は扉についてヱリカの目視で、窓については赤き真実でガムテープの封印が保証されている。紗音のいる隣部屋は扉についてはヱリカの目視で確認が確認されているが、窓については状況は確定されていない。嘉音と紗音は同一人物であると仮定。紗音として隣部屋の窓から脱出した。赤き真実への抵触がないことについて説明する。封印時の隣部屋に居たのは秀吉・譲治・熊沢・紗音・南條であるについては、紗音と嘉音が同一人物であるならば、封印時の隣部屋に居たのは秀吉・譲治・熊沢・紗音=嘉音・南條であるとなる。そして隣部屋の人数は5人である。この5つの名に該当するもの以外は存在しない!については紗音と嘉音が別人であればこの時点で隣部屋の人数は6人になってしまい、赤字に抵触してしまう。5つの名に該当するもの以外は存在しないと言っているが、一人の人物に一つしか名前がないとは言っていないとなる。全ての名は本人以外に名乗れない!については嘉音も紗音も両方本人であるなら、問題なく名前を名乗れることができるはずである。

※別解
バトラの認めるという赤き真実の復唱について、赤字で具体的に何を認めるか宣言していない。よってヱリカの復唱要求をそのまま赤字にしていない可能性がある。たとえば、「この赤字を復唱できないことを認める」と言っている可能性もあるということから、そもそもヱリカの出した青き真実を赤き真実で潰していないことによる嘉音の脱出も可能だが、文脈をそのままとらえて、そのまま赤き真実になっているものとし、不採用とした。

7.嘉音がチェーンで閉ざされた客室から戦人を助け出し、消失する方法は?
 紗音として客室に入り、チェーンをしてから内部施錠する。その後はクローゼットに隠れる。戦人には嘉音として助けに来たということで口裏を合わせておく。消失するのは嘉音の名前を二度と名乗らないという意味合い。設問6.でも言及したように全ての名は本人以外に名乗れない!とあるが、紗音だと言われたら嘉音だと言えば良い。紗音だといわれれば嘉音だと言えば良い。「魔法を使って身体の位置を入れ替えた」でも、なんとでも言える。彼らが同一人物だと明言しない限り、こうしてはぐらかせ続けるのである。ヱリカは脱出トリックについて回答出来ていないのでここでは嘉音としか言えない。
 余談であるが、ベアトリーチェが用意したトリックは本文中に明記されているように「ベッドの下に隠れている」と言い当てられたら「クローゼットに隠れている」両方言い当てられたら、「嘉音ではなくて紗音である」「嘉音でも紗音でもなくて紗代である」と言った内容であると推測。いずれにしても、紗音と嘉音が同一人物であることが、ここでも鍵になる。
 フェザリーヌのいう「一度しか使えないトリック」というのは、紗音と嘉音が別人か同一人物かということが初期のEPからずっと話題になっていたが、別人でしか成立しないトリック、あるいは同一人物でしか出来ないトリックが登場したら、彼らはどちらかに確定されてしまう、という内容だと推測する。

※別解
 紗音と嘉音は別人とした場合で脱出に成功した場合、「嘉音ではなくて嘉哉である」ということも出来る。

8.「18人目の人間だ」「17人だ」。ヱリカ退場時、2つの赤字が並び立った理由とは?
 ヱリカのいう赤字はEP1からの登場人物18人に金蔵を引いて17人。そこにヱリカを足して18人となる。バトラとベアトリーチェのいう赤字はEP1からの登場人物18人に金蔵を引いて17人。そこに嘉音を引いて16人。そこにヱリカを加えて17人。
 紗音と嘉音が同一人物だということに対して青字を提出していないヱリカは、バトラとベアトリーチェの赤字を成立させるために、消滅を選ぶ。
 
 同一人物でも解釈可能だった紗音と嘉音だが、この段階に至ってもそれは未だに並び立つ真実であると言っていい。「この時点で17人だと決定された」ということであれば、ヱリカは赤字で人数の宣言が出来ないはずである。
 EP4のベアトリーチェから戦人への復唱要求「そなたは右代宮明日夢から生まれた」が「俺は右代宮…となったことから、成立していない赤字は一文すべて言えなくなるわけでなく、一部分のみ赤字として残るので、ヱリカの赤字も成立していると考えられる。
 つまり、結論としても、紗音と嘉音は物語として別人でも同一人物でも解釈できるように作られていると考えれれる。

9.EP6のゲーム盤の真相は?
 ヱリカが作中で言っている通り。戦人たちがしかけた狂言殺人を、ヱリカが本当の殺人事件にしてしまった。バトラがゲームマスターだということも戦人が音頭をとって狂言殺人を行っているということで反映されている。紗音が主犯でなく、戦人に対する恋心を整理したいと考えている事も雛ベアトという形で反映されていると言っていい。

10.冒頭で監禁されていた人物が、女性めいた言葉を発していた理由は?
 男性目線の記述は客室のチェーン密室から抜け出せない戦人の葛藤。その後、女性目線の記述になるが、これは戦人を助けに行けないがガムテープの封印が切れないためいけない紗音の葛藤。
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梅沢 菜摘

Author:梅沢 菜摘
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