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Honeymoon of golden witch 〜東京ばな奈編〜その5

理御、クレル、紗音、嘉音。これで4人からの手紙が集まった。妾もせっかくだから、お祖母様に手紙を書いてみようかな。
 みんながどういう書式で書いているか知らないけど、お祖母様は英語が出来るはずだから、英語で書いてみることにする。

Dear grandmother.
Hello, I am your grandchild’s.
My name is Beatrice. It is called golden witch, and infinite witch.
(親愛なるお祖母様へ。私はあなたの孫の、黄金と無限の魔女、ベアトリーチェと申します)
 
 えーっと……お祖母様は妾たちのこと全く知らないわけだから、この複雑な事情から説明したほうがいいのかどうか迷う……。書き方のフォーマットのようなものを指定して置いたほうがよかっただろうか。これはひょっとしたら、誰の手紙をどの順番で読むかで印象が変わってしまう、名作・「瓶詰地獄」のような状況が産まれてしまったのでは……。
 ちらりと集めてきた手紙の封を開けてしまおうかという思いがよぎる。特に紗音と嘉音の手紙が気になる。特に嘉音。あいつ、何!?朱志香と同棲しておるのか……!けしからんヤツ……。理御も理御で、あいつも同棲してるではないか。結婚している自分が言うのもなんだけど、同棲ってなんだか響きがエロい……。 
 ……いや、手紙の封を開けるのは絶対にダメだ。そんなこと……理由を考えるまでもなく、出来るわけがない。
 とにかく、自分のことを書こう。

My occupation is a lady of the manor of El Dorado.
My husband’s name is Battler Ushiromiya.
He is often said to be similar to Kinzo.
He is a wonderful man and I am proud of him.
We got married because we shared a common hobby of reading detective stories.
(私の職業は黄金郷の領主夫人で、私の夫は右代宮戦人といいます。彼は金蔵に似ているとよく言われます。彼はとても素敵な男性で、私の自慢の夫です。私達が結婚したのは、推理小説を読むという共通の趣味があったからです)

 
We visited one of the zoos in Tokyo for a honeymoon.
I heard that it was a dream of my mother to do so.
Since I had heard that from my husband, I thought that I would like to visit it at all rates.
(私達は、新婚旅行に東京の動物園に行きました。私のお母さんが、東京の動物園に行くのが夢だったそうです。私は夫からそう聞いていたので、ぜひ、行ってみたいと思いました)

I cannot get out of El Dorado.
Therefore, I thought that it was impossible to go to the zoo.
However, when I told my husband, he said that there was a way of going there.
(私は、黄金郷から出ることが出来ません。だから、動物園に行くことは出来ないと思っていました。しかし、夫にそれを話すと、行く方法があるというのです)

He had a disciple who was a witch in this world.
(夫は現世に魔女の弟子を持っていました)

When the boundary of this world and the other world gets ambiguous,
I can come to this world through the disciple.
(あの世とこの世の境界が曖昧になるとき、私は弟子を通して、現世に行くことが出来るのです)

It happened on October 4.
I was confused because everything was unfamiliar to me.
I am a witch.
It took a lot of courage for me to go to the human's world.
(それが10月4日のことです。私には全てが不慣れなことばかりで、困惑しました。私は魔女です。ニンゲンの世界に行くことは、とても勇気の居ることでした)

I wondered -- to go or not to go.
(私は迷いました。行くべきか、行かざるべきか)

Battler is too wonderful a man for me.
I know that he lowered his reputation in the world of humans because he had married me,
because I had heard humans of the future world say that I was crazy.
(戦人は私には勿体無い、素敵な男性です。彼が私と結婚したことで、ニンゲンの世界で、その評価を下げていることを、私は知っています。未来の世界のニンゲンが、私を頭のおかしい人だと言っているのを聞いたことがあったからです)

I said to him,"I have been happy to have spent time with you so far.
I have been happy to be able to come here.
You have given happiness more than enough for me. Please remain in this world.
You don't have to be with me any longer."
(私は彼に言いました。「私は今まであなたと過ごせて幸せでした。私はここに来ることが出来て幸せでした。あなたは私に十分過ぎるほどの幸せを与えてくれた。あなたは現世に留まってください。これ以上、私と一緒にいる必要はありません」)

He said, "I love you. Other people, even you, cannot change my mind."
(彼は私に言いました。「私はあなたを愛しています。他の人や、あなたでさえ、私の心を変えることは出来ません」)

I said,"I love you, too. You do not have to worry about what happened in the past.
Rather than that, please make me happier and make me feel that I am a special [lady] for you."
(私は彼に言いました「私もあなたを愛しています。あなたは過去にあったことを気に病む必要はありません。そんなことよりも、私をもっと幸せにしてください。そして、私があなたにとって特別な女性だと感じさせてください」)

 自分で書いててなんだけど、妾たちってこんなにカッコイイ会話してたっけ……。
 あー、ヤバイ……。思い出してきた……。本当に、あの日は、夢みたいだったな……。一週間くらい、ずっとフワフワしてたもんな。
 言葉遣いも、二人でいるときは楽にしていい、って言われてるけど……。
 手紙はもう十分でしょ。ちゅーのことは書きませんっ!どうせどこも似たようなことやってんだよ!お祖母様だって何通も似たようなの読んでたら疲れるよな……?
 戦人さん。あの日のあなた、本当に素敵でしたよ。カッコ良かったです……。その……、あなたも私と同じように、私に夢中なんですね。あなたとキスした瞬間、体が熱くなって、黄金の蝶になって、消えて無くなっちゃうかと思いました……。何度もしてますけどね、えへへ……。
 次の一文で締める。というか、ぶっちゃけると、早く終らせて妄想したいです……。

I realized that our love has already been completed. I did not need to doubt it.
(私は実感しました。私達の愛は既に完成されています。私は、それを疑う必要はなかったのです)

Sincerely,
(ここで手紙は終わり)

 こんな感じでいいかな……?
 戦人さん、そろそろ帰ってくる時間かな。その前に、この手紙は封をしておかないと……。旅行、楽しみですね。ニンゲンの世界に行くのは、やっぱり少し緊張するけど、今度はもう少し、頑張って色々と楽しくお話しようと思います。
 

(パリーン!)
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Honeymoon of golden witch 〜東京ばな奈編〜その4

 馬車から降りると、薔薇庭園の方に、黒い髪の少年の姿が見えた。白いポロシャツにカーキ色の短パン?というかふくらはぎの半分くらいの丈のズボンを履いて、オレンジ色のリックサックを背負っていた。
「あ、あれ、嘉音じゃね? おぉーい!嘉音ーーー!」
 妾が呼びかけると、その声に気がついて嘉音が振り返った。なんならここで手紙を受け取って今日の仕事は終わりにしたい。使用人室にいってこれからいつもの服に着替えるんだろうけど、そんなの構わないからここで受けとってしまいたかった。
「嘉音、ここに。ベアトリーチェさま。お久しぶりでございます。このような格好で申し訳ありません」
 嘉音はいつもの使用人の構えをしながら会釈をした。近くで見ると、ポロシャツの袖と襟のところに赤いラインが入っていて、シンプルながらも上質な服を着ていると、妾はそのセンスに感心した。
「くくく……! 構わぬぞ。 仕事以外が興味ないそなたがそのようなファッションをしておるとは……!まさに恋は人を変えるものであるな」
「いや、そんな……朱志香が選んできたものをそのまま着ているだけなので……。恐縮です」
「くくく……! そなたと妾の仲ではないか……! 楽にして良いぞ」
「……そうか。じゃあ、そうさせてもらおうかな。僕は姉さんとは違うからね。それに、君には第6のゲームのときに貸しがあったっけ」
「その通りにするヤツがあるか……!まあ、よい。今は二人だけだしな。さあ、頼んでいたものを渡すが良い」
 そういうと、嘉音はリュックサックの中から手紙を取り出した。白地に音楽の記号が入った封筒で、かなりずっしりと厚みがあった。
「ご苦労である。妾は今大変機嫌が良い。そなたにこれを進呈しようぞ!」
 妾はそう言って、東京ばな奈を嘉音に差し出した。
「未来の東京で買ってきた本物の東京ばな奈である!受け取りたければ近況を話すが良い」
「ああ、今は使用人室を出て、朱志香と一緒に暮らしてるよ」
「えっ。ああ、そうなんだ……」
 一緒に暮らしてるって……。コイツ今、さらっと凄いこと言わなかったか?
「蔵臼さまに庭師としてもっと頑張ってみないか、よかったら留学してみないか、とか言われてて……。そんなこと言われても、学校にいくとか勉強に行くとかいう気が今まで無かったから。バトラさまに定時制の高校を作ってくれ、って頼んだんだけど……夏妃さまの朱志香に勉強を続けさせたいという要望と合わせて、昼間の高校に通うことになったんだ。それで、朱志香の希望の一人暮らしをしたい、っていうのと合わせて、結局ここから少し遠い所にアパートを借りて二人で一緒に住むことにしたってわけ」
「そうなのか……」
「薔薇の世話があるから、本当は毎日ここに来たいんだけど。……まあ、仕方ないよね。お勤めは前も週3回くらいだったから、ちょうどいいのかな。あ、そろそろ時間だ。僕も、君たちの弟から、使用人に戻らないと……」
 そう言って、嘉音は使用人の構えをし、会釈をして勝手に行ってしまった。
 君たちの弟ってなんだよ。お前は紗音の弟分であって妾は関係ねーだろ。ま、いいや。男子三日会わざれば刮目して見よって言うことで……。

Honeymoon of golden witch 〜東京ばな奈編〜その3

 理御の次は紗音である。魔界の666へと、妾はロノウェが御者を務める馬車を走らせる。666はファッションだけでなく、大型ショッピングセンターになっていて、黄金郷の住人は必要なものがあったらここに買い物に来るのだ。紗音とは、ここで待ち合わせをすることになっている。
 ダイアナの餌を買いに行きたいと理御が言い出すので、理御も一緒に馬車に乗せることにした。途中、色々な話をした。お互いのパートナーのことや、理御がしている勉強のこと。完璧に見える理御も、家事は経験がないせいか苦手のようで、熊沢とクレルに来てもらっているらしい。アパートで猫を飼っているお陰で、声をかけやすかった……などなど……。理御がクレルに話をしてくれていたようで、今日、クレルからお祖母様への手紙を受け取ることが出来てしまった。
 妾が手帳にシールを張って喜んでいる間に、人生を先に進めている人がいるなんて思いもしなかった。
 理御だけだよな?理御が優等生なだけで、他の連中は、きっと妾と似たり寄ったりな生活をしているよな? 

 666について馬車を降りると、駐車場には青い変な形の自動車と、大きなかご付きの黄緑色の女性用の自転車が停めてあった。
「紗音はもう来ているのか。あの車、留弗夫のだっけかァ?なんだっけあれ」
「ランボルギーニ・カウンタックでございます。イタリア製のスーパーカーでございますよ、お嬢様」
「そうだっけかァ?この前も聞いた気がするけど、多分、次に見た時も聞くと思うぞ」
「いやー、戦人君も仕事大変ですよね、まあ、そのおかげでこうしてみんな好きなように過ごせるわけだから感謝しないと……」
 そう、黄金郷は様々な人の願いが並立する世界となった。それを調整するのが戦人の仕事である。
 並立が難しい場合には、代案を考えたり、話し合いが必要である場合には数度に渡り話を聞いたり……。領主の仕事と言えば通りがいいけど、要はネットゲームの運営や、TRPGの公式サポートみたいなもんだ。
「お嬢様、そろそろお時間でございます。紗代様をお待たせすることの無きようお願いします」
「そうか、理御、ここでお別れだ。また近いうちに遊びに行くぞ」
「はい、待ってますよ!私も、ウィルも、ダイアナも」
 
 妾は紗音と待ち合わせしたいる喫茶店に入った。既に紗音は席についていた。客足がまばら……というか貸し切りなので、妾と紗音の二人だけである。
「こんにちは、ベアトリーチェ様」
「妾とそなたの仲ではないか。もう少し、気さくに話してもらって構わないぞ」
「うー……ん……。難しいですね……。ベアトリーチェ様は領主夫人ですし……」
「そうか……、まあ、よい。所で本題のほうだが……」
 そう、実は、妾も紗音はちょっと苦手なのだ。
「はい。こちらです。よろしくお願いします」
 妾は紗音から薄いピンク色の封筒を受け取った。
「そうだ、この間、戦人と東京の動物園に行ってきたのだ。おみやげに東京ばな奈買ってきたけど食べるか?ほら、覚えているか。いつぞやに沖縄の菓子を馳走になっただろう」
「あぁ、そんなこともありましたね……。なんだか、遠い昔の事のように思えます」
「ほ、ほら、妾、昔さ、そなたにそういうの聞いたじゃん?!」
「そんなこともありましたっけ……懐かしいですね……。私、ちょっと忘れかけていました。くすくす……」
「……………………………………」
「戦人さまと、楽しく過ごされましたか?」
「うむ…………」
「くす。素晴らしいことだと思います」
 うーん、質問攻めにされると思ったけど、話が全然弾まないな……。そして、そこはかとなく、紗音の方が優勢なのが気に入らない。チューした?とか聞かないの?…………ま、聞かれても教えないけど……。
「……もう、私とあなたは完全に別人。戦人さまはもう、あなただけのものです」
「……………………………………………………」
「ベアトリーチェさま……私……子作りを頑張ってみようかな、と思ってます…………」
 そこで、妾は飲んでいた紅茶を喉につまらせてしまった。何言ってんだこいつ……!
「理御さまが、お医者さんになりたいって仰ってるでしょう?理御さまと南條先生と、主人と、みんなで一丸になって頑張ってみようかな、と……」
「……………………………………………………」
「思い返せば、子供を持つことは私の昔からの夢でした。ここには無限の時間がある。そして、協力してくれる人が居る。……もちろん、バトラさまに申請すれば、世界のルールそのものを書き換えることだって出来ます。だけど、そうじゃないって思います」
「紗音………………」
「それ、違いますよ」
「……………………」
「私の名前は右代宮紗代。右代宮譲治の妻です」
「しゃ…紗代さァ、……まだ、ミステリー好き?」
「?……はい……?」
「うちに、未来のミステリー一杯あるからよォ……今度、借りに来る?」
「……そうですね……。家の仕事もあるから、中々難しいですね……。それに、ベアトリーチェさまのおうちにあるのは公文書で重要な資料でしょ?私は、身分相応に役所を通して借ります。……そしたら、また、こうして、お話していただけますか……?」
「お、おう……」
 なんだか完全にあっちのペースなのが、とりあえず気に食わないけど、将来を真剣に考えている紗代の話に、妾は驚きを隠せない。え、何?ってことはヤったの……?
 とりあえず、話も終わりそうだし、空気があと、紗音じゃなくて紗代と今後は呼ばないといけなくなった。最近は、コイツに毎日会ってるわけでもないので、メモしないと。今度会うときに間違えると事だ。
「ベアトリーチェさま……、それってブラック・ベアですか?」
「え、よく知らない……。戦人にこれでも使っとけって言われて……」
「このクマは推理小説が好きなんですよ。目が赤いのは、夜遅くまで読書をしているからなんですって。……本当にいたんですね、ブラック・ベア」
 その言葉を聞いて、妾は一つアイディアを閃いた。この手帳には、スケジュールを示す専用のシールが付いている。妾はそれを表4(※裏表紙のこと)から取り出し、紗代に手渡した。
「これは……?」
「そなたにこれをやろう。……えっと、だな」
 ノリで勢い良く取り出したはいいが、名目が思いつかない。出産祝いは違うし、土産はさっき東京ばな奈渡したし……。
「まあ、その、なんだ。妾、このシール使わないから。そなたにくれてやる」
「…………………」
「友情の、印、ってヤツ?」
「…………………。はい、ありがたく、頂戴いたします……」
 あんまり昔の男忘れられないと、産まれて来る子供に悪いんじゃねーの?とか言おうとしたけど、止めた。妾は空気が読める魔女なのである。二人でぎこちなく挨拶をしてその場は別れることにした。
 しかし、嘉音はなんで今日は一緒じゃないのだ……!嘉音とは薔薇庭園で待ち合わせすることになっている。薔薇庭園は妾の家の庭である。疲れたから、早く帰って紅茶でも飲みたい所だ。

Honeymoon of golden witch 〜東京ばな奈編〜その2


「お嬢様。そろそろお時間でございます」
 しまった。忘れていた……。この説明してなかったな。今日は、イタリア旅行に際しての準備で出かけている。理御、紗音、嘉音、クレルからお祖母様宛の手紙を受け取ることになっていた。戦人は仕事があるので、妾一人で全員分を集めてくるのが今日の用事である。妾は執事のロノウェが走らせる馬車に乗っていた。
 「うむ。というかロノウェよおー、そろそろ、妾の呼び方奥様とかに変えたほうがいいんじゃねーの?」
 手帳を覗いている時の自分の顔が、相当デレデレでみっともないことを妾はそれとなく知っているので、いじられる前にそれとなく自分に話題が向かないようにした。
 「わたくしにとっては、あなたはお嬢様でもあり、奥様でもあります。もし、ベアトリーチェ様が差し支えなければ、戦人様がお近くにいらっしゃらないときは、お嬢様と呼ばせていただきたく存じます」
 「まあ、いいや。じゃ、勝手にすれば?理御の家って何号室だっけ?」
 「こちらでございます。複雑ですので、資料を用意させていただきました。では、私はお話が終わるまで、ここに控えております。もし、御用があったらなんなりと。それでは」
 そう、まずは、理御の手紙を受け取るのだ。

 ベーカー・ハイム221b号室。ここがウィルと理御の住んでいるアパートの部屋番号らしい。妾が呼び鈴を叩くと、理御が扉を開けて顔を出した。
「いよおー、理御。妾だよ☆元気してたかよー」
「何ですかそれ。また変な言葉遣いして」
「ちなみにベアトだよ☆でもこの場合オッケーらしいぞ」
「まあ、何言っているのか余計に判らなくなりましたけど、長旅お疲れ様でした。ひとまず上がってください」
 理御と小粋なトークをして上がらせてもらう。部屋は右代宮家に少し似た内装をしていた。あちころに本があるのは、妾の家と似ている。
「あ、そうそう。これやるよ」
 妾は東京で買ってきた東京ばな奈を理御に渡した。
「……ああ、ありがとうございます」
「凄いだろう?!未来の東京で買ってきた本物の東京ばな奈であるぞ!」
「……ああ、縁寿ちゃんのところに行ってきたんですか?」
「いや……魔女関係の用事ではあるが、縁寿ではなかったな……」
 理御はそういうと、お茶をもって妾が通された席の反対側に腰掛けた。
「はい。ではこちらがお祖母様へのお手紙です。よろしくお願いしますね」
「うむ。確かに受け取ったぞ」
「それにしても、イタリアに新婚旅行ですか。素敵ですね」
「理御はウィルと旅行に行ったりしないのか?」
「しませんよ。お互いやることがありますし。一緒に出かける用事があるとすれば、バドミントンの遠征くらいですね」
「私ね。今、お医者さんを目指して勉強しているんです」
「さすが、優等生であるな」
「ベアトリーチェ。私ね、あなたにずっと、コンプレックスがあったんです」
「そなたのような人物が妾にそのような思いを抱くとは……意外であるぞ……!」
「人気投票の1位おめでとうございます。男性だけでなく、むしろ女性の方に人気があるとか」
「妾はこの物語の主人公みたいなもんだからな!当然である!」
 女性に人気?なんで?男の人はみんな巨乳が好きなんじゃないのかな……?
「戦人君は本当にあなたのことが好きなんですね。物語を読んでいて、それが伝わってきました」
「えっ……戦人が妾を……?妾が戦人を、じゃなくて……?」
「はい。そうですよ。違いましたか?」
「いや……。違わない、と……思う……」
 こんなに直球に褒められたことのない妾はちょっと照れくさくて調子が狂ってしまう。いや、この場合、褒められてるのは妾じゃないのか?しかし、理御は鋭いなー。頭がいいからじゃなくて、理御だから判るのかな?
「それに、あなたには真里亞ちゃんが居ます。あなたを理解し、共に高め合う存在が」
「うーん……。ぼっち同士つるんでるだけなんだけどな……。それとアイツ、妾のことそんな理解してるかな?真里亞のオカルト知識は確かに凄いけど……」
 なんで理御がこんなことを言うんだろう。理御のように何不自由なく生きているヤツがどうして……。
「えー。妾は学校の成績とか普通レベルだったし、オール5の理御が羨ましいけどなー?」
「東大には、毎年3000人以上入ります。それでもなんの成果の残せない人も大勢居ます。自分だけの勉強で、限られた人間とだけの交流で、これだけの成果を残せるなんて、もっともっと凄いことだと思いませんか?」
「そんな……!ちょっと大げさ過ぎるぞ……」
「だから私も、自分に何が出来るか、これから何をしたらいいか考えてみたんです。ウィルの世話だけでこのまま過ごすなんて、そんなつまらない人生、お断りです。まず、パッと浮かんだのが法務職ですけど、私よりミステリーの知識のある人なんて、ここには大勢居ますから、そこに入って行ったら、競争が激しくなる思ったんです」
「それで?それでどうすれば医者になるのか……妾にはさっぱり判らないぞ……」
「自分のことだけでなく、自分の身の回りの人にも目を向けてみたんです。ウィルも今は家で大した知識も無いくせにディトレードの真似事みたいなことしてますけど、そのうち飽きて辞めますよ。というか、そもそも、お金を稼ぐ必要なんか無いんです。結構な額の退職金を貰ってるし、あぶく銭で買った不動産収入だってあるんですから。
 そして、ウィルをずっと観察していて思ったんです。この人他に出来る仕事あるのかな……?と。あの人、家ではタオルの入ってる棚と靴下の入ってる棚の場所を何度言っても覚えません。そしてあの社交性のなさ。こんな人、雇ってくれる職場なんじゃないかな、と。ああ、この人本当に、探偵以外にとりえが無いんだと結論しました」
 妾が絶賛されるのと対照的に、ウィラードには酷評をする理御。意外な展開に、妾は息を呑む。
「そこで、思ったんです。ウィルはまた探偵を始めるだろうなと。そんな時、私も彼の助けになりたい。そう考えて、思いついたのが医者だったんです。私、ワトソンですしね?なんだかそう考えると、すごくしっくり来るなって思いました。これなら、今まで勉強してきたことも役に立つ。医療に詳しい人は、ここには南條先生くらいしか居ませんからね」
 そこで理御は一呼吸置く。そして再び口を開くか迷っているように妾には見えた。
「人の命を奪うあなた。人の命を救う私。なんだかすごく、しっくり来ませんか?」
 戸惑いとは逆に、笑顔を作って。理御は妾にそう言ったのだった……。

Honeymoon of golden witch 〜東京ばな奈編〜その1

 妾は黄金の魔女にして、無限の魔女、ベアトリーチェである。職業は黄金郷の領主夫人で、最近の趣味はシールの張ってあるノートを見ることだ。
 詳しい顛末を説明すると、「キスを1000回するまで、この先の事は保留」ということになった。この先って何かって?……いや、それは、男と女が密室で二人でいたら、することなんじゃねーの?ちなみに、殺人事件じゃないほうだぞ。え、今のギャグ面白いだろ?超面白いだろ?!使っていいぞ。
 今何回やったか判らなくなってしまうので、それを最初はメモしていたのだが、この間、東京に行った時、真里亞におみやげで買ってきたシールを「ベアトにも半分あげる」と、もらったのだが、使い道が判らない。ものは試しにと、10回刻みでシールを張ることにしたのだが、これから、様々な利点に気がついた。ハッキリ言って、キスを何回したかなんて、いちいちカウントしちゃ居られない。だから、だいたいこのくらい、と大まかにカウントするくらいで十分なのだ。そして、そこから発展して、最初は普通のメモ帳に数だけメモしていたのを、カレンダーに張ることにした。そうすると、だいたいの傾向が見えてくる。その傾向を考えるのが超楽しいし、なにより、少しずつ、二人の関係が進展しているのが可視化できるのが凄く面白い。ドラクエのレベルみたいだ。
 もし、戦人が変なことを要求してきたらどうしよう。「おっぱいにキスすれば10回として扱う」とか。どうしよう。おっぱいにキスされたりしたら、1000回を待たずして、その先の展開まで進んでしまうんじゃないだろうか。どうしよう。そんなの。困る。困るー。……いや、いいんだ。「妾が嫌な思いをしないのが一番」なのだから。それをするかしないかは妾が決めていいんだ。いや。でも。妾も戦人に喜んで欲しい。どうしよう。困る。困るゥー☆
 まあ、いいか。もし言ってきてから決めれば。しかし、このノートを眺めていると時間がものすごく潰せる。まず、うっかり開いたら、それだけで軽く30分はうっとりしていて終わってしまう。それに、このマス目に点在するシールを俯瞰していると、星座のようにも思えてくる。来月からは、星の形のシールにしようかな。そして、実際の数字も近くに書けるようにすれば更に見やすいかな。ああ、ああ、夢が広がる。楽しすぎる。真里亞、そなたのシール最高だよ。やっぱ原初の魔女のエンチャントは違うな。
 そして、もし、1000回を数えるに至ったなら。その時は、戦人の行きたがっていた温泉旅行に行きたいと思う。あのときは、温泉をディスってるみたいな流れになってたけど、そんな訳じゃないのだ。やっぱり、セックスをするのは少し抵抗がある。少し、なんてもんじゃない。かなり抵抗がある。でも、それは別に戦人のことが嫌いだとか信頼してないとかそんなんじゃなくて。そんなんじゃなくて……。
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梅沢 菜摘

Author:梅沢 菜摘
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