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Honeymoon of golden witch 〜動物園編〜

 俺は右代宮戦人。黄金郷の領主にして、無限の魔術師。そして、黄金の魔女にして無限の魔女、ベアトリーチェの夫である。
 自己紹介はこのへんにして、状況を説明したいと思う。
 今日は、10月4日。秋の東京。そして、俺が今いるのは東京駅。嫁さんのベアトリーチェことベアトとは待ち合わせの最中だ。一緒に住んでるのに、ベアトのやつは待ち合わせがしたいらしい。アイツのワガママはなんでも聞いてやりたい俺は、それをそのまま承諾した。「そんなことやってられるのは、付き合い始めの今だけだ」なんて周りの奴らにもよく言われるけど気にしない。……全裸で首輪をつけて四つん這いで歩かされたり、巨大な扇風機で死にそうな目に合うのに比べれば、遥かに簡単なことだからだ。
 約束の時間はそろそろだけど、ベアトリーチェはまだやって来ない。電車が遅れているのか、道に迷っているのか。……それともそういう趣向なのか。携帯電話を持っていない待ち合わせというのは、こんなにもハラハラドキドキするものなのか。そわそわしてしまって、腕時計を何度も眺めたり、駅の放送がやたらと気になったりした。
 「あの…………戦人…………」ふわりと香る薔薇の香水。ベアトリーチェがやって来たことに気が付き、俺は声の方向を向く。ベアトリーチェは外出用のブレザーにミニスカート姿で、手にバスケットを持っていた。
 「ベアト!……時間ピッタリだな。始まりは普通で安心したぜ」
 「う、うむ」
 「そのバスケットはアレかよ。右代宮戦人さんのリクエスト?」
 「ま、まぁ、……そんな所である……」
 「あれ……?なんかノリ悪くないか?」
 「そんなことはないぞ。妾はいつも通りである……」
 そこで俺は思い至る。ベアトリーチェはきっと調子が悪いのだ、と。女の子は男と違う理由で、体調が悪い時がある。だから、ここは、彼女にその理由を言わせるのはとても無粋なことなのだ。
 「なんだよ。今日は月に一度の魔女が魔法使えない日かよ。一週間だっけ?」
 彼女の返事を待たずに、俺は左手で三角形を作り、その終点を腰に持っていった。
 「……これは……?」
 「あれ?腕組んだことない?もしかして?」
 ベアトリーチェは怪訝そうに俺の腕に自分の腕を絡めた。
 「あー……嫌ならいいんだぜ……」
 「嫌ではないぞ……早く妾を上野駅へ連れて行け……」
 「おうよ」
  こ、この今、腕にあたっているのは俺の嫁さんの小玉スイカなんでしょうか……。この間「妾のおっぱいのサイズは小玉スイカ二個分である」とか言ってたけど、あれは……あれは……。
 「戦人!……痛い」
 俺はベアトリーチェと歩幅が合わず、彼女の足を踏んでしまったらしい。
 「え、悪い。実は俺も女の子と腕とか組んだことねーわ……。カッコつけずに普通に歩くか」
 俺はそう言うと、足を退かし、腕を離す。
 「…………」
 彼女に向き合うと、ベアトリーチェは、少し下を向いて俯いた。
 「……腕がダメなら……。こっちで……」
 ベアトリーチェは、そう言って手を差し出してきた。
 「お、おう……」
 俺はベアトリーチェの手をとって、手をつないで山手線の改札に向かっていった。全く調子が狂う。そして、実は女の子と手を繋いだ事もないのだった。
 
 
 上野駅についた俺達は、目的地の動物園にやって来た。電車の中で何度もベアトリーチェに話しかけていたのだが、なんだか反応が薄くて調子抜けする俺だ。
 「……ま、俺はいいけどな。たまには休憩出来るし……」
 「…………」
 「まあいいや。そのバスケット貸せよ。俺が持つから」
 「…………うむ」
 ベアトリーチェは顔が真っ赤で、ガチガチに緊張した様子だった。
 「おい、なんか喋れって」
 「…………妾は………六軒島の魔女、……ベアトリーチェである…………」
 まるでみんなで行ったカラオケで、内気な子がむりやりマイクを握らされて恐る恐る音声の確認をしているようだった。調子が狂う。……でも、ちょっとカワイイ……。これ、そういう趣向なのかな。残念でしたァのパターンなのかな。また俺、体張らなきゃいけないのかな。

「なんだよ。思ったよりかも面白く無かったか?飽きんの早すぎだぜ。お前が言い出したんだから最後までやれよな」
「……………………うむ」
「どうしたんだよ。らしくないぜ」
「……いや……その……これ、人に見られてるとか知らなかったから……恥ずかしい」
「なんだそんな事かよ。いいじゃん別に。だいたいこんなん見てるヤツいねーよ。幾子さんと十八くらいじゃねーの?」
「うー…。うー」
「そのうーうー言うのを辞めなさい!だぜ。あ、じゃあ、せっかくだから、見てるヤツに言いたいこととか言ったらどうよ。発想を逆転して、さ」
「そんな事言われても困るぞ……!だいたいどんなヤツが見てるかもしらねーし。とりあえず、幾子とか言う奴に言いたいことはない。強いて言うなら放っといてくれ、だ」
「そうだ、逆転って言えばさ……『逆転裁判』どこまで進んだ?」
「4話まで終わった!あれ、そこで終わりかと思ってたけどまだまだ続くみたいだな。小説以外のミステリーは邪道、とか思ってた時期が妾にもあったけど、これがなかなかどうして……!」
「そうか。気に入ってくれたみたいで嬉しいぜ」
「そうだ!これを見ているミステリー作家は黄金郷に面白いミステリーを持ってくること!面白いのやりたい~。いっぱいやりたい」
 いっぱいやりたい。いっぱいやりたい、ね……。
「あ、そうだ。戦人、あの話って作り話なんだよな?」
「そりゃそうだ。あんな弁護士や検事いねーし、霊媒なんかあるわけねーだろ。そりゃ、どっかにはあるかもしんないけど、少なくとも一般的じゃねーぜ」
「じゃあ、携帯電話は……?携帯電話も作り話なのか……?」
「そっか……、お前がニンゲンだったときには、ケイタイは一般的じゃなかったんだっけ。携帯電話は作り話じゃないぜ。お前から見て未来じゃ、相当に普及してる。日本じゃ持ってない人の方が少ないくらいの機器だ。確か、生活保護を受けていても、所持は許可されてる……だったかな」
「そうなのか……。妾も蔵臼が携帯電話の話してるのは聞いたことがあったけど、とても簡単に持ち運びするようなものじゃなさそうだったし、てっきり公衆電話で十分、ということなのかと思っていたが……」
「まあ、公衆電話の時代にも色々あったな。まずな、受信専用の機械が若い女の子を中心に普及した。ポケットベル、略してポケベルって言われてたぜ。もともと電話を掛けて数字だけ表示させる簡単な機械だったけど、その後、短い文章も送れるようになったんだ。メッセージを送る為に、公衆電話を利用したんだな。そして、少しずつ、技術の進歩や利用者の拡大に伴って、通話のできる携帯電話の方にシフトしていったんだ。そのうち、利用者は拡大していった。若者やビジネスマンだけじゃなく、まさに老若男女さ。機能だって凄いぜ。文字メッセージはもちろん写真や音声も送受信できる。あとは、小型のカメラだってついてる。写真だけじゃなくて、映像だって録画できるんだ」
「そんなの……そんなのミステリーの犯人どうすんだよ!捜査は簡単になるわ、クローズド・サークル形成出来きなくなるではないか!あーあ、携帯電話無い時代で良かった~」
「あー、そうかよ。……俺はさ、……もし、俺らの時代に携帯電話があったら、俺らの関係も少しは変わってたかな、って話をしたかっただけだよ」
「そんなの……変わらない。だって、戦人は妾に手紙くれなかった。手紙って制度は妾の時代にもあったのに……譲治は紗音に手紙出してたのに……」
「……そうだよな。………………ごめんな」
 そこで俺たちはしばらく黙ったままでいた。
「いいよ手紙は。すっごいラブレター貰っちゃったからな。くっっく。絶世の美女を口説き落とした事、自慢のタネにする事を許可するぞ」
「うーん……なんだろう。ちょっと素直すぎるのが引っかかるというか……。そうだ、今から交換日記とか始めちゃうか?」
「ダッセー!さすが童貞。ダメダメ。そんなんやってたら、妾、魔女仲間に陰でディスられちゃうぞ」
「またかよ。恥ずかしいだろ。ってか、それブーメランだろ。お前だって……!……いや、そうだな。そんな事してる暇があったら、ミステリーたくさん読んでもらったほうがいいよな。そうだ。携帯電話がミステリー界に及ぼした影響ってのもそうだよな。どうなったか、色々想像して見ながら読んでくれよ」
「しかし、そなたの生きてた所は本当に妾からすると未来だな。もうSFの世界としか思えんぞ」
「だから言ったろ。魔法の執事はいねぇが、便利なものが色々あるって」
「えー。関係ねーしィ。妾が住んでるのは黄金郷であって、未来じゃないもーん」
 ベアトリーチェはそう言うと、俺に背を向けて歩を早める。動物園や動物には興味があったようで、彼女にとっては面白いもののようだった。俺は動物を見てはしゃいでいるベアトの方が面白いのだが、あんまり見てるとまた怒られるので、目が合わないように適度に視線を逸らすことを繰り返していた。
 
 大方の予想通り、バスケットの中身はベアトリーチェの作った弁当だ。卵、ハム、チーズ、トマト、きゅうり……色とりどりの具材が収まっていた。なんでも、ロノウェと郷田さんが競って中身を作ってくれたようで、ベアトがしたことは、パンにバターを塗ることと具材を安定させる為に具材を挟み込んだパンを積み上げて、上から押し込んだことだけらしい。パンの耳さえ切らせて貰えないとは、なんという箱入り娘。
 俺はずっと疑問に思っていた。ベアトの真意を知った今、こいつがどうして料理が苦手なのか。そうか。こういうことなのか。きっと、ベアトはやれば料理も掃除も完璧に出来るのだ。しかし、悪魔の執事や魔女の師匠、家具に使用人、多くの召使に囲まれて生きている。料理や掃除といっても、一口に言っても色々あるからな。初めてやる事柄は、出来るかどうかやってみないと判らない部分もあるだろう。
「赤青合戦が始まるかと思って赤字の準備をしていたのに。全く無駄な準備だったではないか……」
「いや。そんなの良いんだよ。彼女が手作りだって言ってんだから、たとえ毒が入ってて殺されても旨い、旨いって言って食うのが男だろ」
「えー……。お察しの通り、妾、料理とか全然しないんですけどー。」
 サンドイッチを口に入れる瞬間まで、ベアトは俺の顔をチラチラと見ていた。紅茶の入った水筒を必要以上に動かしたりして、落ち着かない。
「うーん、旨い」
「えっ。ホント?!ホントに?何処が?どんな所が?!」
「えーっと……パンの圧縮具合が……あと、バターの塗り方が上手で……」
「なんだよそれ。味に関係ねーだろォ……」
「お前、自分で作ってないって言ったよな……?」

 その後は、特に変わったことは起こらなかった。ベアトリーチェはこの動物園で見る動物全てに興味を持ち、楽しそうにはしゃいでいた。いつものようにゲラゲラ笑っているわけでなく、その様子はあくまで真剣で、「小悪魔」というよりは「無邪気」という表現が似合う。あまりこういうことを言うと調子に乗るから言わないようにしているけど、青空の下で見る、ベアトの笑顔は本当に可愛い。光が彼女の
周りに集まってくるように感じる。
「これで終わりか……他に行きたい所あるか?」
「ソフトクリーム!ソフトクリームが食べたいぞ」
「おー、まだ時間あるし、全然問題ないぜ」
 ベアトリーチェはバニラ味のソフトクリームを注文し、歩きながら少しずつ食べ進めていた。ベンチに座ったらどうか、と俺は促したのだが、なんでも歩きながら食べてみたい、ということで断られてしまった。
 
 10月といっても風が暖かく、日差しもそれなりに強かった。少し歩くと、ベアトリーチェはソフトクリームを食べ終わったようで、包み紙を捨てるゴミ箱を探していた。ついでに口紅でも塗りなおして来るのかね。女の子は大変だな。
 
 ベアトリーチェが帰ってくるまで俺は近くのベンチに座って待つことにした。今日一日、あいつ、すげー緊張してたな。なんだか大したことをしていないのに、すごく俺も疲れた。結局、せっかく出かけたというのに、ミステリーの話をしている以外は、あんまり会話弾んでなかった気がする。
 などと、今日一日を思い返していると、ベアトリーチェが戻ってきた。憑き物が落ちたような、神妙な顔で、俺が話しかける前に口を開いた。
「これで思い残す事は何も無い。ありがとう、戦人。今まで体験した事、今日体験した事、全てが妾が考えていた何倍もの幸せであった。こんな体験が出来るのならば、魔女になって良かったのかもしれぬ。……もう、帰っていいよ。こんなところ、いなくたっていいではないか。お情けで、こんな面倒な女に付き合う必要は、もう無い」
「は?…………おい、どういうことだよ」
「もう、十分である。……ここで終わりにしよう」
「…………。……悪い、全く話が見えない」
「だって、みんなが妾の事、気持ち悪いって。妾なんか、戦人の相手としてふさわしくないって…………!」
「みんなって誰だよ、縁寿?黄金郷の人?」
「みんなはみんな!縁寿もそうだし、未来人とか……。ヤンデレだって。妾のこと、キモいって…………」
 ベアトリーチェが真剣に話すのをずっと聞いていた俺だが、その発言を聞いて、思わず吹き出してしまう。
「何笑ってんだよォ!こっちは真面目に言ってるんだからなァア!」
「いや、お前、縁寿のこと、いつもブサイクとかデブとか言ってるわりに、意外と気にしてんのな」
「え?それはあいつが先に妾のこと胸だけとか、お兄ちゃんは渡さないー!とか言うかからであって……」
 ベアトリーチェの胸の内を知って、俺はなんと返答すべきか思案した。こんなこと、言ってしまっていいのか判らない。しかし、この言葉以外に、今彼女にかける言葉として適切なものは思い浮かばない。止める自分を騙すようにして、俺は勢いに乗ってできるだけ簡単に言ってしまおうと決めた。
「他の人の気持ちなんかどうだっていいよ。いや、お前の気持ちだってこの際関係ねーよ。……俺は、お前のことが好きなの!」
 何度も心のなかで思っている、当たり前のことだったのに、いざ、口にしてしまうと、なんだか俺はものすごく重要なことを言ってしまったような、そんな気持ちになる。 
「まあ……、どのくらい好きかはアレの方を参照ってことで……」
 ああ、俺は今、すごく余計なことを言ったんじゃないだろうか。急に頭に血が登ってきて、きっと物凄いダサい顔をしてるんじゃないかと思う。だが、言ってしまったものは仕方ない。どのくらい時間が過ぎたのか、体感ではよく判らないけれど。やっとの思いでベアトリーチェの方を見ると、あいつの方も少し赤い顔をしていた。
 そこで俺は思う。ああ、良かった。今のは余計なことじゃなかったんだ。
「お前は?」
「え…………」
「今度はお前の番だぜ。俺はちゃんと言ったぜ。だから、お前も言いやがれ」
「………………。妾も……妾も、戦人のことが好き……」
 おぉ……!判りきっててたことだけど、心臓を掴まれたような衝動が襲って来る。
「…………………………じゃ、何の問題もないな。ハイ、宇宙完成」
「………………………………………………………………………………」
 ベアトリーチェは無言のまま、何も言い返して来なかった。

 日が落ちて、辺りは夕焼けに染まる。手持ち無沙汰のベアトリーチェを横に座るように促して、しばらく俺たちは無言で夕日を眺めていた。
「あ、俺も話のついでに言いにくいこと言っていい?」
「ダメ」
「なんだよ……、何の話か判ってんのかよ」
「もう、6年とか、千年とか、そういうのいいよ」
「え、なんだよ。なんでお前ばっかり許されて、俺はダメなの?」
「そうじゃなくて……。…………そんなことより、もっと私を楽しくさせて。特別な女の子だって思わせて……」
 それを聞いて、俺はベアトリーチェに近づき、彼女の肩の上に手を置いた。
「判った。……その。目を閉じて……」
「えー……ないわー……」
「いいから。早くしろや」
 有無を言わさないように目で訴え続けると、ベアトリーチェはしぶしぶと目を閉じた。ここからのタイミングが重要だ。3秒カウントする。
「………!」
 話に聞いただけだから、実際に効果があるかは判らない。なにせ、こちらは目をつぶっている。相手は目を開けている。そういう状況を狙っているのだから。
 今、俺の視界は奪われ、唇には彼女の唇の感触があるだけだった。ゆっくりと唇を離し、そして、目を開ける。
 ベアトリーチェの表情を見て、完全に魔法がかかったと俺は確信した。
「ベアト、今度はイタリアに行こうぜ。お前のお母さんも、お祖母様の見た景色を見たら、きっと喜ぶさ」
「………………………………………………」
「おい、ベアト。聞いてるか?」 
「見たか!山羊とも、魔女ども、悪魔ども。この男はこの通り、妾に骨抜きよ。キモいで結構。ヤンデレで結構よ。わははは……」
 全く、この期に及んで誰に話してんだか。ホント、コイツって、悪ぶってるけど繊細だよな。
「ベアト、今は二人でいるんだから、他のヤツの話すんな」
「…………は、はい……」
 この反応、これはチャンスなのでは?この間あれだけハッキリ断られてしまった訳なので、ここで畳み掛けるべきなのか迷う。しかし、攻めこむチャンスがあるのに、そのまま流すのは魔女のゲームのプレイヤーのすることじゃない。そうだ。まずは、遠回しに……。
「あ、あのさ。宇宙を作る人数って二人だったよな。今から二人っきりに……」
「ダメダメ、ダーメ!」
 うー……まだダメか……。ガード堅いな……。
「……すまぬな、戦人……」
「……いや、いいよ……」
「……戦人、妾に少し、時間をくれぬか……。戦人のことが、好きじゃないとか、信頼出来ないとか、そういうわけじゃないの……」
「お、おう……判ってるぜ、そんなの。いや。俺が悪いんだよ、女の子の都合考えないで、そういうこと言ってるんだから。お前が、嫌な思いしないのが一番さ……」
 そこで、俺達は再び無言になってしまう。日も大分落ちてしまい、もうすぐ夜になろうとしていた。出来れば、こんな雰囲気じゃなくて、もっと明るく終わりたい。俺は、ベアトを楽しくさせて、特別な女の子だって思わせなくちゃいけないんだから。
「ベアト。今日からさ、1000回キスするまで、もうお前にそういうこと言わないからさ。俺、時々聞くから。回数はお前が管理しといてくれや」
「なんだよそれ……!」
「その代わり、その数に至ったら、もう一回言うからな。いやー、何度も邪険にされたら、さすがの俺もちょっと傷ついちゃうかもしんねーな」
「うむ……もっともな話である」
「俺はお前が申告した数字に異議を唱えたりしないから。ここまで何か問題あるか?」
「ない。妾もそのルールで異存はない」
「そうと決まったら帰ろう。もう、そろそろ時間だ」
「うむ!」
 俺達は立ち上がり、動物園を後にした。もうすぐ夜になり、魔女の時間がやってくる。ベアトリーチェが人間の女の子から魔女に変わるまで、俺はこの異界での時間を最後まで楽しむことにした。
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