スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Honeymoon of golden witch 〜東京ばな奈編〜その2


「お嬢様。そろそろお時間でございます」
 しまった。忘れていた……。この説明してなかったな。今日は、イタリア旅行に際しての準備で出かけている。理御、紗音、嘉音、クレルからお祖母様宛の手紙を受け取ることになっていた。戦人は仕事があるので、妾一人で全員分を集めてくるのが今日の用事である。妾は執事のロノウェが走らせる馬車に乗っていた。
 「うむ。というかロノウェよおー、そろそろ、妾の呼び方奥様とかに変えたほうがいいんじゃねーの?」
 手帳を覗いている時の自分の顔が、相当デレデレでみっともないことを妾はそれとなく知っているので、いじられる前にそれとなく自分に話題が向かないようにした。
 「わたくしにとっては、あなたはお嬢様でもあり、奥様でもあります。もし、ベアトリーチェ様が差し支えなければ、戦人様がお近くにいらっしゃらないときは、お嬢様と呼ばせていただきたく存じます」
 「まあ、いいや。じゃ、勝手にすれば?理御の家って何号室だっけ?」
 「こちらでございます。複雑ですので、資料を用意させていただきました。では、私はお話が終わるまで、ここに控えております。もし、御用があったらなんなりと。それでは」
 そう、まずは、理御の手紙を受け取るのだ。

 ベーカー・ハイム221b号室。ここがウィルと理御の住んでいるアパートの部屋番号らしい。妾が呼び鈴を叩くと、理御が扉を開けて顔を出した。
「いよおー、理御。妾だよ☆元気してたかよー」
「何ですかそれ。また変な言葉遣いして」
「ちなみにベアトだよ☆でもこの場合オッケーらしいぞ」
「まあ、何言っているのか余計に判らなくなりましたけど、長旅お疲れ様でした。ひとまず上がってください」
 理御と小粋なトークをして上がらせてもらう。部屋は右代宮家に少し似た内装をしていた。あちころに本があるのは、妾の家と似ている。
「あ、そうそう。これやるよ」
 妾は東京で買ってきた東京ばな奈を理御に渡した。
「……ああ、ありがとうございます」
「凄いだろう?!未来の東京で買ってきた本物の東京ばな奈であるぞ!」
「……ああ、縁寿ちゃんのところに行ってきたんですか?」
「いや……魔女関係の用事ではあるが、縁寿ではなかったな……」
 理御はそういうと、お茶をもって妾が通された席の反対側に腰掛けた。
「はい。ではこちらがお祖母様へのお手紙です。よろしくお願いしますね」
「うむ。確かに受け取ったぞ」
「それにしても、イタリアに新婚旅行ですか。素敵ですね」
「理御はウィルと旅行に行ったりしないのか?」
「しませんよ。お互いやることがありますし。一緒に出かける用事があるとすれば、バドミントンの遠征くらいですね」
「私ね。今、お医者さんを目指して勉強しているんです」
「さすが、優等生であるな」
「ベアトリーチェ。私ね、あなたにずっと、コンプレックスがあったんです」
「そなたのような人物が妾にそのような思いを抱くとは……意外であるぞ……!」
「人気投票の1位おめでとうございます。男性だけでなく、むしろ女性の方に人気があるとか」
「妾はこの物語の主人公みたいなもんだからな!当然である!」
 女性に人気?なんで?男の人はみんな巨乳が好きなんじゃないのかな……?
「戦人君は本当にあなたのことが好きなんですね。物語を読んでいて、それが伝わってきました」
「えっ……戦人が妾を……?妾が戦人を、じゃなくて……?」
「はい。そうですよ。違いましたか?」
「いや……。違わない、と……思う……」
 こんなに直球に褒められたことのない妾はちょっと照れくさくて調子が狂ってしまう。いや、この場合、褒められてるのは妾じゃないのか?しかし、理御は鋭いなー。頭がいいからじゃなくて、理御だから判るのかな?
「それに、あなたには真里亞ちゃんが居ます。あなたを理解し、共に高め合う存在が」
「うーん……。ぼっち同士つるんでるだけなんだけどな……。それとアイツ、妾のことそんな理解してるかな?真里亞のオカルト知識は確かに凄いけど……」
 なんで理御がこんなことを言うんだろう。理御のように何不自由なく生きているヤツがどうして……。
「えー。妾は学校の成績とか普通レベルだったし、オール5の理御が羨ましいけどなー?」
「東大には、毎年3000人以上入ります。それでもなんの成果の残せない人も大勢居ます。自分だけの勉強で、限られた人間とだけの交流で、これだけの成果を残せるなんて、もっともっと凄いことだと思いませんか?」
「そんな……!ちょっと大げさ過ぎるぞ……」
「だから私も、自分に何が出来るか、これから何をしたらいいか考えてみたんです。ウィルの世話だけでこのまま過ごすなんて、そんなつまらない人生、お断りです。まず、パッと浮かんだのが法務職ですけど、私よりミステリーの知識のある人なんて、ここには大勢居ますから、そこに入って行ったら、競争が激しくなる思ったんです」
「それで?それでどうすれば医者になるのか……妾にはさっぱり判らないぞ……」
「自分のことだけでなく、自分の身の回りの人にも目を向けてみたんです。ウィルも今は家で大した知識も無いくせにディトレードの真似事みたいなことしてますけど、そのうち飽きて辞めますよ。というか、そもそも、お金を稼ぐ必要なんか無いんです。結構な額の退職金を貰ってるし、あぶく銭で買った不動産収入だってあるんですから。
 そして、ウィルをずっと観察していて思ったんです。この人他に出来る仕事あるのかな……?と。あの人、家ではタオルの入ってる棚と靴下の入ってる棚の場所を何度言っても覚えません。そしてあの社交性のなさ。こんな人、雇ってくれる職場なんじゃないかな、と。ああ、この人本当に、探偵以外にとりえが無いんだと結論しました」
 妾が絶賛されるのと対照的に、ウィラードには酷評をする理御。意外な展開に、妾は息を呑む。
「そこで、思ったんです。ウィルはまた探偵を始めるだろうなと。そんな時、私も彼の助けになりたい。そう考えて、思いついたのが医者だったんです。私、ワトソンですしね?なんだかそう考えると、すごくしっくり来るなって思いました。これなら、今まで勉強してきたことも役に立つ。医療に詳しい人は、ここには南條先生くらいしか居ませんからね」
 そこで理御は一呼吸置く。そして再び口を開くか迷っているように妾には見えた。
「人の命を奪うあなた。人の命を救う私。なんだかすごく、しっくり来ませんか?」
 戸惑いとは逆に、笑顔を作って。理御は妾にそう言ったのだった……。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

総合訪問者数
プロフィール

梅沢 菜摘

Author:梅沢 菜摘
ツイッターでの考察などをまとめてます。リンクは自由ですが、無断転載はご遠慮願います。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。