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Honeymoon of golden witch 〜東京ばな奈編〜その3

 理御の次は紗音である。魔界の666へと、妾はロノウェが御者を務める馬車を走らせる。666はファッションだけでなく、大型ショッピングセンターになっていて、黄金郷の住人は必要なものがあったらここに買い物に来るのだ。紗音とは、ここで待ち合わせをすることになっている。
 ダイアナの餌を買いに行きたいと理御が言い出すので、理御も一緒に馬車に乗せることにした。途中、色々な話をした。お互いのパートナーのことや、理御がしている勉強のこと。完璧に見える理御も、家事は経験がないせいか苦手のようで、熊沢とクレルに来てもらっているらしい。アパートで猫を飼っているお陰で、声をかけやすかった……などなど……。理御がクレルに話をしてくれていたようで、今日、クレルからお祖母様への手紙を受け取ることが出来てしまった。
 妾が手帳にシールを張って喜んでいる間に、人生を先に進めている人がいるなんて思いもしなかった。
 理御だけだよな?理御が優等生なだけで、他の連中は、きっと妾と似たり寄ったりな生活をしているよな? 

 666について馬車を降りると、駐車場には青い変な形の自動車と、大きなかご付きの黄緑色の女性用の自転車が停めてあった。
「紗音はもう来ているのか。あの車、留弗夫のだっけかァ?なんだっけあれ」
「ランボルギーニ・カウンタックでございます。イタリア製のスーパーカーでございますよ、お嬢様」
「そうだっけかァ?この前も聞いた気がするけど、多分、次に見た時も聞くと思うぞ」
「いやー、戦人君も仕事大変ですよね、まあ、そのおかげでこうしてみんな好きなように過ごせるわけだから感謝しないと……」
 そう、黄金郷は様々な人の願いが並立する世界となった。それを調整するのが戦人の仕事である。
 並立が難しい場合には、代案を考えたり、話し合いが必要である場合には数度に渡り話を聞いたり……。領主の仕事と言えば通りがいいけど、要はネットゲームの運営や、TRPGの公式サポートみたいなもんだ。
「お嬢様、そろそろお時間でございます。紗代様をお待たせすることの無きようお願いします」
「そうか、理御、ここでお別れだ。また近いうちに遊びに行くぞ」
「はい、待ってますよ!私も、ウィルも、ダイアナも」
 
 妾は紗音と待ち合わせしたいる喫茶店に入った。既に紗音は席についていた。客足がまばら……というか貸し切りなので、妾と紗音の二人だけである。
「こんにちは、ベアトリーチェ様」
「妾とそなたの仲ではないか。もう少し、気さくに話してもらって構わないぞ」
「うー……ん……。難しいですね……。ベアトリーチェ様は領主夫人ですし……」
「そうか……、まあ、よい。所で本題のほうだが……」
 そう、実は、妾も紗音はちょっと苦手なのだ。
「はい。こちらです。よろしくお願いします」
 妾は紗音から薄いピンク色の封筒を受け取った。
「そうだ、この間、戦人と東京の動物園に行ってきたのだ。おみやげに東京ばな奈買ってきたけど食べるか?ほら、覚えているか。いつぞやに沖縄の菓子を馳走になっただろう」
「あぁ、そんなこともありましたね……。なんだか、遠い昔の事のように思えます」
「ほ、ほら、妾、昔さ、そなたにそういうの聞いたじゃん?!」
「そんなこともありましたっけ……懐かしいですね……。私、ちょっと忘れかけていました。くすくす……」
「……………………………………」
「戦人さまと、楽しく過ごされましたか?」
「うむ…………」
「くす。素晴らしいことだと思います」
 うーん、質問攻めにされると思ったけど、話が全然弾まないな……。そして、そこはかとなく、紗音の方が優勢なのが気に入らない。チューした?とか聞かないの?…………ま、聞かれても教えないけど……。
「……もう、私とあなたは完全に別人。戦人さまはもう、あなただけのものです」
「……………………………………………………」
「ベアトリーチェさま……私……子作りを頑張ってみようかな、と思ってます…………」
 そこで、妾は飲んでいた紅茶を喉につまらせてしまった。何言ってんだこいつ……!
「理御さまが、お医者さんになりたいって仰ってるでしょう?理御さまと南條先生と、主人と、みんなで一丸になって頑張ってみようかな、と……」
「……………………………………………………」
「思い返せば、子供を持つことは私の昔からの夢でした。ここには無限の時間がある。そして、協力してくれる人が居る。……もちろん、バトラさまに申請すれば、世界のルールそのものを書き換えることだって出来ます。だけど、そうじゃないって思います」
「紗音………………」
「それ、違いますよ」
「……………………」
「私の名前は右代宮紗代。右代宮譲治の妻です」
「しゃ…紗代さァ、……まだ、ミステリー好き?」
「?……はい……?」
「うちに、未来のミステリー一杯あるからよォ……今度、借りに来る?」
「……そうですね……。家の仕事もあるから、中々難しいですね……。それに、ベアトリーチェさまのおうちにあるのは公文書で重要な資料でしょ?私は、身分相応に役所を通して借ります。……そしたら、また、こうして、お話していただけますか……?」
「お、おう……」
 なんだか完全にあっちのペースなのが、とりあえず気に食わないけど、将来を真剣に考えている紗代の話に、妾は驚きを隠せない。え、何?ってことはヤったの……?
 とりあえず、話も終わりそうだし、空気があと、紗音じゃなくて紗代と今後は呼ばないといけなくなった。最近は、コイツに毎日会ってるわけでもないので、メモしないと。今度会うときに間違えると事だ。
「ベアトリーチェさま……、それってブラック・ベアですか?」
「え、よく知らない……。戦人にこれでも使っとけって言われて……」
「このクマは推理小説が好きなんですよ。目が赤いのは、夜遅くまで読書をしているからなんですって。……本当にいたんですね、ブラック・ベア」
 その言葉を聞いて、妾は一つアイディアを閃いた。この手帳には、スケジュールを示す専用のシールが付いている。妾はそれを表4(※裏表紙のこと)から取り出し、紗代に手渡した。
「これは……?」
「そなたにこれをやろう。……えっと、だな」
 ノリで勢い良く取り出したはいいが、名目が思いつかない。出産祝いは違うし、土産はさっき東京ばな奈渡したし……。
「まあ、その、なんだ。妾、このシール使わないから。そなたにくれてやる」
「…………………」
「友情の、印、ってヤツ?」
「…………………。はい、ありがたく、頂戴いたします……」
 あんまり昔の男忘れられないと、産まれて来る子供に悪いんじゃねーの?とか言おうとしたけど、止めた。妾は空気が読める魔女なのである。二人でぎこちなく挨拶をしてその場は別れることにした。
 しかし、嘉音はなんで今日は一緒じゃないのだ……!嘉音とは薔薇庭園で待ち合わせすることになっている。薔薇庭園は妾の家の庭である。疲れたから、早く帰って紅茶でも飲みたい所だ。
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