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Honeymoon of golden witch 〜イタリア編〜その3

ホテルの部屋は、ツインの部屋を一部屋予約した。ベアトリーチェはほろ酔いで、ピサの斜塔がもし真っ直ぐだったらというような歌詞の歌を同じ部分だけ何度も歌いながら、さっそく自分の家のようにダラダラしている。 
「そういえば、紗音ちゃんのところにもお前が行ったんだって?てっきり家具の誰かに頼むと思ったのに……。」
「意を決して行った割には、向こうが距離を取りたがってることを思い知らされただけだったぞ。…………妾的にはー、チューした?とか聞かれても良かったのにィー」
「何?聞かれたかったの?」
「うーん、そう言われると……。聞かれたかったような、聞かれたくなかったような……」
 俺はベアトリーチェのいるベッドの隅に腰を下ろした。
「じゃ、俺からも質問していい?なんでエッチさせてくれないんですか?」
「なにそれ。キモい。マジ最悪。あー、今日してもいいかと思ってたけど止めた!止めました!」
「いや、そういうんじゃなくてさ……俺、お前の夫じゃん?一応。そう考えると普通だろ、この質問。…………い、いやさ。なんとなくは判るよ?!でもさ、お前の口から直接聞きたい。もう、その悩みはお前だけのものじゃない。俺の悩みでもあるわけだから」
 しばらく張り詰めた沈黙が続く。俺はベアトリーチェが口を開くまで、折れるつもりは無かった。
「自分の体の変化について行けなくて。前は、こんなんじゃなかったから。…………それに、やっぱりセックスが怖い……の。憧れる気持ちもあるけど、やっぱり、気持ち悪いって思う……」
「………………………………………………」
「あと、いきなり結婚してるっていうのも……。妾、戦人のこと、ずっと好きだったから。それなのに、恋人を通り越して、いきなり結婚なんて。げ、現実味が無いっていうか……」
 ベアトリーチェはそこで一度言葉を切った。
「愛に慣れてないの。…………一万円渡されて自由に使っていいって言われた小学生みたい。まぁ、200億円渡されて、自由に使っていいって言われた中学生だったわけだけど」
「………………………………………………………………」
 ほぼ、予想通りの内容ではあるけれども、重すぎる告白に、俺は絶句する。しかし、自分からこの話を促したのだから、真面目に返す以外の選択肢は無かった。
「よく判った。ありがとう。答えてくれて…………」
 意識的にベアトリーチェの目を見て話した。彼女は俺の言葉に反応している様子ではあったけど、話し終わった後と表情は変わらない。涙ぐんで下を向いていた。
「繰り返しになるけど。これからは、その悩みは俺の悩みでもある。俺も、俺なりの方法で、協力できるようにする。……あれだな。判っていても、一回、ちゃんと話さないとダメだな」
 ベアトリーチェが繊細な女の子だと言うことは知っていたつもりだったけど、普段は軽口なせいで、実際のところ、俺にはもはやどうしたらいいか判らない。この話をこれ以上広げてもいいのだろうか?そんなことしても、お互いもっと気まずくなるだけのような気がする。
 というか、俺が乱暴にするとか思ってんのかコイツは。そんな訳ねーだろ。お前はもうちょい男の体に慣れたほうがいいよ。……いや。そういう事じゃない。それに、多分、こういう言い方は良くない。自分で思っててなんだけど、露骨すぎたかもしれない。言い方をソフトにしよう。
「……ところで、その……話は変わるんだけどさ、お前は俺の体で好きなパーツとかないの?」
 ベアトリーチェは目をぱっちり開いて、ちょっと戸惑っていた。何度か瞬きをした後に、こう答えた。
「手……かなァ…………。こう、ふいに考え事する時とかにチラって手の甲が見えるんだけど、指が長いな……とかゴツゴツしててカッコイイな……とか思ってドキドキしてた……」
「そ、そうかよ……」
 見た目をこいつからこんなにストレートに褒められたのって初めてじゃないか?手。手かよ。ドキドキしてたのかよ……。
「あれ?今もしかして、変態チックなこと言ったか?」
「い、いや。そんなことはねーと思うぜ。普通。そう、普通だよ。…………あのさ。だったら触ってみる?」
 俺は自分の左手をベアトリーチェに差し出した。ベアトはそれを膝の上に乗せ、愛おしそうに何度も撫でている。その様子は、例えるなら、名画のように美しい。まさにキリスト教の宗教画だ。
「あまり見るでない。照れるではないか」
「い、いやさ。これからもっともっと、ジロジロあちこち見られるんだからさ。慣れたほうがいいよ…………」
 俺の体に。そう言おうかと思ったけど、俺はその言葉を飲み込んでしまう。少し余裕の彼女の態度にすっかり飲み込まれてしまっていた。脳に妙な信号が送られて、頭の回転がどんどん鈍くなっていく。
「確かに、戦人とはたまに手を繋いだりしてるし……。いきなり裸になって抱き合わなくてもいいんだよなァ………………」
 そう言うと、ベアトリーチェは俺の左手を自分の口に近づけた。そのまま、一切の躊躇を見せず、目を閉じて俺の左手にキスを落とす。二度、三度と全体的に繰り返すと、俺の左手の中指だけを彼女自身の手で包んだ後つかみ、彼女の口の中に入れた。目を閉じたまま、少しずつ口の中に入れていく。……あの、これって、いわゆるFで始まるアレですよね……?指でないものをそうするのが一般的なあれですよね……?姿は見えないのに、自分の指に伝わる感覚で、彼女の舌の動きが判ってしまう。え?何これ?何なの?この女は一体何を考えているんだ!?止めさせるにはどうしたら良い?どうやって自分の意思を伝えればいいんだ?
 俺の思考が振りきれると同時に、ベアトリーチェは口の中から俺の指を吐き出した。
「うふふ。薄い本でみた戦人もそんな顔してた!」
 完全に面白がっているベアトリーチェ。先ほどまでのシリアスなムードは何処へやら。楽しそうに笑っている。
「おい、俺は触ってみる?としか言ってねーだろ。口に含んじゃダメ!ルールを守れよ!」
「何で触るか指定しなかった方が悪い。これは正当な権利である」
「屁理屈言うなよ。……いや、なんていうか、汚いよ…………。手を洗ってる時だったから良かったけどさ…………」
 ベアトはまだ笑っている。今だったら……。俺はベアトリーチェの体を自分の近くに引き寄せた。そのまま、彼女を抱きしめる。ベアトは小さな悲鳴をあげて、すぐに静かになってしまった。
「なんだよ、まったく。悪戯ばっかりしやがって。そういう悪い魔女は、俺の腕の中に閉じ込めます」
 俺はベアトの唇を指でゆっくりとなぞった。実は、前々から、試してみたいことがあったのだ。
「……………………………………………………」
 実行する前に許可をとってからの方がいいのかなー、と思うけど。なんと切り出していいか判らない。指先は先ほどの動作を継続している。ベアトはなんだかもの凄く幸せそうにしてる。こういう時にする、ちょっと控えめなあの笑顔。どうしよう。カワイイ。
「………………ッ。お前ってさ。……………………やっぱカワイイな」
 俺はなんだか居ても立っても居られなくなって、ベアトリーチェを強く抱きしめた。そのままキスをする。唇が触れて離れるだけのいつものヤツを、自分自身の踏ん切りが付くまで何度も繰り返した。意を決して、口の中に舌を差し込もうとすると、タイミングが合わずにお互いの歯がぶつかってしまう。
「悪りー……痛かったよな。ゴメンな」
「……もう、このヘタクソ……」
「……ごめんなさい。調子に乗りました…………」
「いや………………痛くは無かったぞ。……………………次は妾がやってみるから、戦人はじっとしてて…………」
 ベアトの言う事に従ってされるがままにしていると、彼女の舌が俺の口の中に入ってくる。舌同士でキスするように何度か触れては離れるを繰り返す。挨拶しているようにすら感じられた。程なくして、彼女の舌が動いて、俺の舌に絡んでくる。湧き上がる激情に任せて舌を動かそうとすると、今度は追いかけっこの形になってお互いがうまく噛み合わない。出来るだけ自分は動かさないようにして、軌道にうまく乗せるような形で動きに乗ることにした。コツがようやく判ってきたあたりで、終わりになってしまったけど。
「……………………どうだ……?こんな感じであろうか………………?」
 ゆっくりと目を開けると、ベアトがそう言っているのが聞こえた。顔が赤く高揚している。たまらない気持ちになって、ベアトを抱きしめた。思い切ってるなって思ったけど、やっぱり恥ずかしかったのかな?
「ああ、多分こんな感じだと思う。………………あれだな。お前のほうが上手だな」
 俺もベアトの真似をしてやってみた。強引にしないで、流れに沿って行くほうがうまくいくらしい。ベアトは舌の動きを自分からしないというのが中々判らないみたいで、大分口の中で追いかけっこする形になってしまった。ベッドに腰掛けたままの姿勢が辛くて、一度中断して横になってすることにした。適度なところで止めにしたけど、新しいことに挑戦しているという訓練の要素が強くて、なんだか思っていたのと感じが違ったけど、これはこれで良かった気がする。
 実際に経験してみて思ったことは、キスのレベルを一段階上げただけでこれだけ苦労するということは、これから先は苦労の連続だということだ。まあ、でも、それは楽しみと完全にイコールでもある。
 着替えて寝る準備をしていると、ベアトリーチェは既に眠ってしまっていた。黄金郷でも彼女とは別々の寝室で寝ているから、彼女と同じ部屋で一晩明かすのは、1986年のあの日以来のことだった。
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