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魔女ベアトリーチェへの手向けとは?

■EP6を読む
 EP6は大きく、3本のテーマを持って描かれます。
・ベアトリーチェとバトラの話
・碑文殺人の代わりに行われる、ゼパルとフルフルのゲーム
・八城十八と縁寿
 それぞれを、個別に見ていこうと思います。


■ベアトリーチェとバトラの物語

 EP6には雛ベアトリーチェと姉ベアトリーチェという二人のベアトリーチェが登場し、物語のクライマックスでゲームマスターとして覚醒し、バトラと結婚します。
 象徴的すぎると思われる、この物語を紐解いていきたいと思います。

・雛ベアトリーチェとは何か
 EP5でこの世界の全てに至った戦人はゲームマスターとしての権利をラムダデルタに認められ、ベアトリーチェのゲーム盤を務めることで、領主の権利を獲得を目指します。これは、ベアトリーチェを眠りにつかせることを目的としていました。
 そこで、ルールからベアトリーチェを組成します。これは、ゲームに必要な駒であり、ルールの擬人化でありました。ルールを理解しているなら、以前と同じになるはずなのに、ゲームマスター・バトラの生み出したベアトリーチェの振る舞いは、素直で甲斐甲斐しく、彼女は彼をお父様と呼んで慕います。

 これはベアトリーチェの構成要素うち、紗音の戦人へ恋心の擬人化、それもバトラの考える紗音の恋心だからです。バトラは彼女の6年間の苦悩を理解できません。これは、男性だから(性差、個人差)、1986年10月6日に記憶喪失になってしまってから、という二つの理由があると思われます。

・姉ベアトリーチェとは何か
 一方、新しきベアトリーチェは自身をベアトリーチェの卵、あるいは雛と捉え、バトラの期待する以前のベアトリーチェになるために努力を始めます。彼女はバトラを慕い、尽くし、いつかバトラに自分を認めて欲しいと願っていたからです。以前のゲームマスターのベアトリーチェの行ったゲーム盤の物語を読み、その後の、誰もいなくなった肖像画の前で、彼女は自分とそっくりの、ゲーム盤の中のベアトリーチェにそっくりな古風な話し方をした女性と出会います。彼女もまた、自身をベアトリーチェと名乗ります。二人はそれぞれ、お互いに自身の欠落を見出し、二人で一つになり、一なるベアトリーチェになることを目指します。雛ベアトリーチェのことがあとで生まれた、ということから肖像画で出会ったロングヘアを結わずに垂らしたブレザー姿の女性は姉ベアト、雛ベアトリーチェは彼女から妹と呼ばれるようになります。妹は姉に魔法の手ほどきをうけ、カップの中にキャンディーを生み出す手品の練習をします。それは、かつて真里亞にキャンディーを与えたのと同じ魔法でした。

 姉ベアトリーチェとは、六軒島の魔女伝説の擬人化です。EP7によれば、紗音は魔女ベアトリーチェを名乗り、真里亞に手品を披露し、魔女と認められるという描写があります。
 魔女伝説は紗音が幼い時から六軒島に存在するもので、EP6では悪食島の幽霊が次第に魔女伝説に変わっていったという描写があります。
 EP7によれば、この姉ベアトリーチェの外見は紗代が魔女ベアトリーチェとして振舞っていたときの戦人と親密になり、肖像画が掲げられる前のものと同一でした。

・GMバトラの苦悩
 以前の魔女とは違う姿にバトラは彼女に苛立ち、どうして自分の生み出したベアトリーチェは以前のようにならないのだと苦悩します。
 そこで、彼はひとりきりの部屋で、ベアトリーチェや煉獄の七姉妹を始めとした魔女の眷属たちを呼び出し、自身の悩みを打ち明けます。ひとりきりの彼の部屋に現れたベアトリーチェの亡霊は、「彼女を妾と思わずに、死して妾が残した忘れ形見、つまり娘と思え」と言いました。バトラはこの言葉に感銘を受け、新しきベアトリーチェとの接し方を改めます。

 これは、そのままその後、八城十八となった未来の戦人と思われます。彼は、その後、伊藤幾九郎◯七五六としてインターネットに偽書を発表します。記憶喪失になった十八の中に残っている戦人のそれは、断片的なものしかなく、六軒島の事件はただただ恐ろしいく、事件の真相に迫っていくだけでも様々な苦労があったのではないかと想像できます。
 自身を右代宮戦人と思えない彼は、彼の親族や想い人のことを勝手に書いてしまうことも憚れれることだったかもしれません。とにかく、死んでしまった安田紗代と面白おかしく六軒島事件を発表する世間と戦うため、執筆しようと決意するだけでも、それは大変なことだったと思います。
 また、EP3からEP5と同名のタイトルの偽書がインターネットに発表されたとEP6にありました。EP3のベアトリーチェはEP2までの残酷さや魔女らしい古風さが強調されていました。EP3からのベアトリーチェはそれを残しつつも、残酷というよりただ乱暴な言葉づかいや、「戦人に認めてほしい気持ち」が強調され、EP2までのそれより女性らしいキャラクターとして描かれます。お淑やかな性格より、ラフな性格の女の子が好き、という戦人の好みもこのキャラクターに反映されています。
 これこそが、紗代と戦人(十八)の共同幻想のベアトリーチェで、順番的には十八が一番最初に苦労した部分なのではないかと思われます。



■ゼパルとフルフルの恋の試練
・黄金蝶のブローチ
 EP2に、ベアトリーチェが紗音に黄金蝶のブローチを与え、譲治との恋を励ました、というエピソードがあり、EP6ではそのブローチを紗音が嘉音に譲ります。嘉音は、このEP6で朱志香への好意をはっきりと紗音に示します。
 恋を成就させるには、魔法が必要なのです。そのための鍵が、このブローチ。嘉音が踏んで割ったので、紗音・嘉音は1つずつ持ち合っているといい、再び一組の姿に戻せば、家具とニンゲンが結ばれる奇跡の力を、再び蘇らせると語ります。また、この魔法は雛ベアトリーチェにも享受できると姉ベアトリーチェは語ります。
 この説明とともに、「恋の試練」がはじまり、ゼパルとフルフルという二人の悪魔が登場します。

 戦人が無礼な客人をからかってやろうと音頭をとって始めたのがEP6のゲーム盤の内容です。魔女から碑文の謎を解けという手紙は届かず、その代わりに開催されるのがこの恋の試練です。
 EP4までのベアトリーチェのゲーム盤とは違い、これこそが安田紗代の内面の葛藤として描かれます。すべての恋は実るチャンスは平等であると示される点も他のEPとは大きく異なる点です。

・恋の試練、第一の晩
 恋の覚悟があるなら誰か一人殺してこい、とゼパルとフルフルに言われた若者たちはそれぞれ、試練を達成します。雛ベアトリーチェもこの試練を受け、戦人への気持ちを誤魔化さないと認めます。


 ゲーム盤での内容は、譲治は絵羽を、朱志香は霧江を、嘉音(もしくは紗音)は楼座と真里亞、戦人は夏妃に声掛けをし、戦人自身は客室で死んだふりをします。

「ゼパルとフルフルに聞いた。……おかしなゲームが始まっているようだな。」
「は、はい…。勝手なことをしてすみません……。」
「いや、いい。そういう無軌道で何を始めるかわからないところも、実にお前らしい。
……それにその、…まぁ、ゲームの趣旨も聞いてる。二人一組で挑むのが正しいことになってるらしいな。




 また、このセリフから、このゲームはGMバトラの主催で無いことも判ります。このEP6においては、安田紗代は自分の葛藤に自分自身で決断していきます。これこそが、戦人の紗代へのメッセージではないかと思います。

・恋の試練、第二の晩
 第一の試練は全員が合格でした。その後、ヱリカの出してきた青き真実を赤き真実で否定出来ないバトラは時間の止まった客室に一人で閉じ込められ、雛ベアトリーチェとは離れ離れになってしまいます。これをきっかけに、雛ベアトリーチェはこの恋の試練への出場資格を失います。
 雛ベアトリーチェは恋の試練の場所に居ながらも、気がかりはバトラのことでした。彼を密室から救うには、残りの恋人達をみるといいというゼパルとフルフルの進言を受け、決闘を観戦します。結果は紗音の勝利で、それを受けて、嘉音と雛ベアトリーチェは消えてしまいます。状況を受け入れる嘉音ですが、雛ベアトリーチェは何のことだか理解できません。彼女の何よりの疑問は、どうして自分が右代宮戦人が好きなのか、ということでした。バトラをお父様と呼んだ彼女は“お母様”という存在に問いかけをします。
 “お母様”は信託と呼べる言葉を雛ベアトリーチェに授けます。彼女はどうして自分が戦人が好きなのか、姉ベアトリーチェは何なのか知ります。そして魔女の姿勢と話し方を嘉音に教わり、彼の助けも得られることとなりました。
 いつまでたっても客室から出てこないバトラに痺れを切らし、ベルンカステルはヱリカの後見人となり、彼女に真実の魔女になってこのゲーム盤の領地を全て相続しては、と申し出ます。そのためにはバトラと婚姻をして、領主の指輪を得るべきだと主張し、結婚式の準備をラムダデルタと共に進めます。
 ベアトリーチェはかつてのゲームマスターとしての貫禄を取り戻し、嘉音の助力を経て、古戸ヱリカの結婚式に乱入し、決闘を申し込みます。ヱリカはベアトリーチェに破れ、退場します。

 ゲーム盤で行われた内容としては、紗音が戦人を助けに行ったという内容になります。(赤字の抵触等については偽書作家テストをご参照ください)自身の恋する気持ちを一つにした安田紗代ですが、このドッキリの音頭の取っている戦人の指示以外で、自分の準備した内容のトリックを使い、不可解な事件を起こす、魔女幻想の担い手となりました。はっきりと紗代がもう一度、共同幻想による「魔法」を使った瞬間でもあります。
 雛ベアトリーチェの擬人化の元であった、戦人の思う、紗音の恋心に紗代自身が魔法を使ったことに寄るリンクが生まれ、これが雛ベアトリーチェが受けた信託のようなものの正体ではないかと思います。
 つまり、この瞬間、魔女幻想の担い手は戦人から紗音になりました。これを経て、ベアトリーチェは復活したのです。

・ベアトリーチェの復活、黄金郷
 古戸ヱリカとベアトリーチェの対決、その勝利を受け、結婚式はベアトリーチェとバトラのものとなり、二人は結婚します。ベアトリーチェの領主の指輪はバトラのものとなり、ベアトリーチェは領主夫人となりました。二人は永遠の愛を誓い合います。
 嘉音はバトラを救出したことで叙勲を受け、朱志香との仲を認められ、また、ゼパルとフルフルの試練を耐えぬいた譲治と紗音も受勲を受け、婚姻を認められました。

 爆発し、死後の世界での様子となります。黄金郷で幸せになる、という記述は何度かありましたが、具体的に3組のカップルが誰とも破綻せず描かれる様子が初めて描かれました。
 EP7でも、ベアトリーチェはきっと満足して眠りについただろうというワルギリアの言葉と、Dawnの本を棺に収める戦人の姿が描かれました。

■八城十八と縁寿
 偽書など、EP8に続く、1998年の世界を考える上で、様々な設定が出てきます。
 ただ、縁寿はこの物語の内容に納得が出来ません。黄金郷でみんなが幸せに、と物語が語っても、縁寿の所に誰も家族は帰ってこないからです。
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