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【ネタバレ】祝姫 感想〜「ひぐらし」から14年、過去作からの系譜、その新境地〜

※この記事には、「ひぐらし」「うみねこ」「彼岸花」「ローズガンズデイズ」の内容に関してのネタバレがあります

・「祝姫」とは

 呪いをテーマにしたホラーアドベンチャーゲーム「祝姫」。一本道で、選択をする等のゲーム要素はありません。ホラーとっても、謎を解くミステリーとも、謎が解かれることによってカタルシスが得られるサスペンスとも違い、現実世界の物理法則では起こりえない事が起きる物語で、プレイヤーが受ける印象が恐怖であるもの、といったニュアンスです。また、実際のモチーフはエロ、グロが多いと個人的には思います。
 大ヒットを記録した「ひぐらしのなく頃に」の2016年版といいますか、大きく流れが踏襲されています。個人的にではありますが、過去作の類似点と、時代が変わったことによる変化を見ていきたいと思います。

・主人公・煤払涼
 祝姫というお話は、3行でまとめると、「1000年前の因縁から始まった煤払流の後継者・涼が1000年前の因縁に触れ、呪いに苦しむ4人のヒロインを救い、最後には死ぬ話」です。

 涼という名前から連想されるように、涼やかで野暮ったい感じは一切なく、熱血が売りの圭一や戦人との差異を感じました。体を鍛えていて強いのに、女の子のような繊細さを持っています。圭一や戦人のように、罪を犯したり迷ったりすることはありません。ヒロインたちを救い、最後には全ての呪いを解き放ち、死に至ります。その姿は古代の英雄のようですらあります。
 
 煤払流武術には「感謝の心」が大きなテーマになり、敵を打つための拳ではなく、感謝を奉納するための拳だと何度も繰り返されます。今、問題と向き合うきっかけをくれたことに感謝をする。本作ではそう語られます。
 復讐に対して復讐以外の何で返していくか、ということが過去作で何度もテーマになりました。祖父の無念を晴らすため、自らを神と名乗った「ひぐらし」の鷹野三四。人の世界でそれを赦すことは出来ないけれど、人ならざる存在である羽入には赦すことが出来る。罪を綿に染み込ませて綿流しをするのだ、とされました。つまり、「祭りがあると、それまでいがみ合っていた人達もこの時飲んだ酒に免じてまた仲間に入り直せる」という村社会の理想や、神という自分自身を俯瞰した立場から見た存在があたえる赦しのようなものでした。
 「うみねこ」でも、姉達に酷い仕打ちを受けた楼座は娘の真里亞に当たり散らします。しかし、キリスト教やオカルト、そしてベアトリーチェの出会いによって魔女への道を歩むことを決意した真里亞は誰に対してもそのような仕打ちをしませんでした。つまり、学問によって知識を得て、そこからやりたいことを見出すことによって悟りを得ました。それを俯瞰している18歳の縁寿もまた、クラスメイトや世間から言いがかりを受けますが、真里亞の意思を継ぐマリアージュ・ソルシエールの最後のひとりとして自分のやるべきことを見出した彼女はそれに打ち克ちました。究極的には、与えられる立場から与える立場になったことによる変化だったと思います。
 また、「彼岸花」ではいじめを苦に自殺を人々は妖怪という魔によって制裁をうけ、「ローズガンズデイズ」では復讐には復讐が返される様子が何度も描かれます。

 具体的に、一言で言い表せる言葉として「感謝」という言葉が用いられました。復讐に復讐で返さないためには、己の罪を向き合い、罪を禊ぐ機会を与えられことを感謝する。その宗教的な誰にでも判りやすく考えがまとめられたことに、一つの洗練を見出しました。

 「うみねこ」では、過去に起きたことはどうにもならず、「どうにかなる時点で大した試練じゃない」とまで言われました。この作品では、過去に対してどういう答えを出していくかもある程度、プレイヤーに委ねられるという性質もあったからなのですが、どうにもならないものに対してどうしていくか、という意見をハッキリ示したことによって、テーマがハッキリした、大衆的なエンターテイメントとして仕上がったのではないかと個人的には思います。

・死別というモチーフ

 前述しました通り、主人公・涼の死によって、シャチホコ部の面々は親しい人物との死別を経験します。彼の死は決まっていたことで、覆せないことですが、雛形先生の犠牲により、メインヒロインの十重は呪いから解放され、ひと夏の思い出を涼と作ります。結果的には、涼のみならず、雛形も失ってしまうのですが、それでもシャチホコ部の面々の半数は涼と決別出来ません。そして、最後にはそれまでヒロインたちを苦しめていた霊障という現象が、今度は喜びとしてやってくると描かれます。
 感想が別れる部分かと思いますが、私はこれは残酷な結末だと思いました。突然やってくる死による別れを、この世ならぬ現象で先延ばしにされてしまったようなもので。彼女たちは、女性として若く美しい時間を幻想の王子様に尽くして過ごしてしまうわけで……。

 しかし、「うみねこ」で描かれた家族や恋人の死、覆らない運命というのは過酷なもので、もしかしたらですが、人によってはこういう内容のほうがハッピーエンドのように映るんじゃないかなと、この結末がどう評価されるのか、一個人としては興味があります。
 

・ヒロインについて
 本作は上級生、同級生(遠縁の親戚)、下級生、それと巫女の四人のヒロイン構成です。この構図が「ひぐらし」を彷彿させます。ヒロインたちは普段は明るく活動的ですが、それぞれに悩みを抱えていて、霊障という存在がそれを冗長させます。それを解決していくことが呪いを払っていくために重要になります。これも雛見沢症候群により、疑心暗鬼を冗長される、相談し、問題を解決することによって物語は大団円に近づいていくという、ひぐらしと近い設定です。しかし、ただの疑心暗鬼というより、霊障というそれぞれのヒロインをピンポイントで追い詰める個々の存在である雌鹿達は、彼岸花の妖怪に近い気がします。それぞれ、個別に見ていきたいと思います。

・黒神十重
 本作のメインヒロイン。巫女や多面世界の中心であるという設定はひぐらしの梨花を彷彿させます。
 涼の告白のシーンは過去編の睦の演技と重なるものがあり、いつもの菩薩のような彼が感情をむき出しにし、人間らしさを感じて非常に良かったです。本編で語られるように、ヒロインたちが涼に惹かれるのは呪いの煤のせいで、涼が十重に惹かれるのも、千年前のことが関係していると思います。しかし、彼らもそれに気付いてると思うし、それがあって「あなたは誰ですか?」の回答が女性と男性で違うこと、自分が今感じている感情は自分だけのものなのなのかという葛藤が上手く表現されていて本当に素晴らしいと思いました。最初から声優さんのボイスが入っている作品だったこともあって、表現できる境地だったと思います。

 ループというギミックは「ひぐらし」の時点では目新しさもあったのですが、2016年の今ではこれをギミックにしたヒット作も多く存在し、ありふれたものになっていると思います。また、「ひぐらし」の賽殺し編や「うみねこ」全編においては、実際の人生はループしない、人の人生は時間は元に戻らないということも強調されていました。しかし、多面世界というか、「重ねあわせて見えてくるもの」は竜騎士07氏の普遍のテーマであるようにも感じました。
 そこで本作の「霊障」は一言で言えば悪夢であり、やはり現実は一度だけでした。しかし、十重と涼の思い出を支えた「別の世界の睦」というのも、ループという概念が自然に表現されていて、時代の変化を感じました。

 また、睦と鈴女が古代の無電源ゲームで親密になっていく様子は「うみねこ」の趣味の推理小説を通じて親密になっていく戦人と紗音を思い出しました。

・春宮椿子

 同級生ポジションのヒロイン。ポジションといい、「強さ」と「可愛らしさ」の融合したキャラクターもひぐらしの「竜宮レナ」を思い出します。
 元ヤンという設定も全体的に平成の要素が強い本作で、ちょっとしたパンチになっていて、逆に珍しさを感じました。
 エロス、グロテクス、バイオレンスのバイオレンスの要素が強く押し出されていて、それが、一度道を踏み外しながらも、もう一度夢を見る強さが描かれていました。彼女のシナリオは、冗長性がなく、他のヒロインと比較すると「もう終わりなの?」と感じるほどに無駄がなく洗練されていたと思います。

・美濃部鼎

 上級生ポジションのヒロイン。沙都子、真里亞のような家庭問題枠ですが、単なる虐待に終わらず、この問題を克服することによって家庭から社会に出ていくということが表現されていて、そこが今までと違うなと思いました。
 家庭問題から自立とは、働くことはとテーマが広がっていきますが、それが見事に融合している素晴らしいシナリオで、私個人としても、若かりしのことを思い出して感情移入しました。
 上級生の割には、小柄でファッションも少女らしく、親しみ易いながらも色々な提案をして主人公たちを引っ張っていく新しいリーダーの形を提唱しているように思いました。
 霊障もメルヘンの世界の住人となることで楽しんでいる節がありますし、厨二を一度こじらせるも卒業し、これから社会人として生きていくか……というのはやはり上級生だからこそ映える設定だったのかなとも思いました。彼女は親と上手くやれませんでしたが、一連を振り返って、「これまで守ってくれた親に感謝して、……」と感謝という涼が何度も繰り返す重要な単語を口にしました。だからこそ、鼎は年長者なのかなと感じてしまいました。
 ミノベ県王国のエリス姫としての描写は、どこまでが霊障なのか、想像なのか、これは現実のメタファーなのか、ということが敢えて曖昧に描かれているように感じ、「うみねこ」っぽいなと思いました。
 エロスとグロテクスが上手く融合していて、物理的に痛い想像をしてしまい、よく出来ているなと思いました。久しぶりに、ゲームをやって本気で落ち込みました。

・布川莉里杏

 下級生ポジションのヒロイン。アイドルという、今まで竜騎士07氏の作品には登場しなかった設定ですが、今日では「アイドル」というのは現実でも、フィクションの中においても身近な存在です。アイドルの追っかけも趣味として市民権を得た現代を反映させた設定だなと思いました。
 シナリオでは、ネットが大きくテーマになります。エゴサーチ(著名人が自分の名前で検索すること)をして、悪口ばっかり書かれているのに敢えて読みに行ってしまう……というのは、私個人としては考えられないことで、彼女の問題も「ネットを見なければいい」で解決してしまうことだと思うのですが、そうしてしまうというのは一種の現代病なのかもしれません。
 莉里杏は大人っぽい下級生、自立した女性のいうイメージが一見してあります。外見も大人っぽく、受け答えなどもしっかりしているのですが、アイドルとしての最終的な姿……例えばですが、母親のような女優になりたいとか、ステージに立つ仕事が好きだとか、そういうのが提示されません。だから彼女のアイドルという設定は、ちょっと変わった習い事をしている子くらいにしか思えないくらいでした。「芸能人」でなく「芸術家」だったら寿ゆかり、八城幾子などが過去作では該当しますが、そういったキャラクターにはあまり近くないと感じました。今は、過去を吹っ切って、現在の自分に自信を持つために目の前のことをがむしゃらにやっていて、涼のサポートに対する感情も、それを助ける一つにしか過ぎません。だからこそ、子供っぽく感じるというか、新しい年下のヒロインとして未熟なことも含めて応援したいと思えました。
 鹿たちが煤を集めようと追い詰めるシーンは、テキストも声優の演技もセックスそのものにしか見えません。これで全年齢向けとして発売できるのだから、商業作品でも表現の自由というものは結構あるんだなと思ってしまいました。
 
・まとめとして

 想像ではありますが、「ひぐらしみたいなゲームを作ってよ」とメーカー側から依頼されたのかもしれないなと思いました。しかし、そこで今、持てる力を出し切って、現代を踏まえつつ、普遍的に通用する素晴らしい和風サウンドノベルの世界を構築した作品だったと思います。10年は素人を専門家に変えますが、一方、1000年という時間の前では誤差のように短い時間です。ひぐらし発表の平成14年から平成28年の今、14年の時間が経っています。それまでの色々な作品があり、今、竜騎士07氏のことを紹介する上でふさわしい作品になったのでは、と思いました。

 ただ、ずっと作品を追っているファンからすれば、良くも悪くも「2016年版のひぐらし」としてしか捉えられない部分もあります。新しいテーマやギミックはほとんど無いからです。しかし、久しぶりに仕事、寝食意外にこのゲームをプレイすることを優先にし、のめり込んでしまったのも事実で、竜騎士07先生の作品を引き続き追っていきたいと思うのでした。

魔女ベアトリーチェへの手向けとは?

■EP6を読む
 EP6は大きく、3本のテーマを持って描かれます。
・ベアトリーチェとバトラの話
・碑文殺人の代わりに行われる、ゼパルとフルフルのゲーム
・八城十八と縁寿
 それぞれを、個別に見ていこうと思います。


■ベアトリーチェとバトラの物語

 EP6には雛ベアトリーチェと姉ベアトリーチェという二人のベアトリーチェが登場し、物語のクライマックスでゲームマスターとして覚醒し、バトラと結婚します。
 象徴的すぎると思われる、この物語を紐解いていきたいと思います。

・雛ベアトリーチェとは何か
 EP5でこの世界の全てに至った戦人はゲームマスターとしての権利をラムダデルタに認められ、ベアトリーチェのゲーム盤を務めることで、領主の権利を獲得を目指します。これは、ベアトリーチェを眠りにつかせることを目的としていました。
 そこで、ルールからベアトリーチェを組成します。これは、ゲームに必要な駒であり、ルールの擬人化でありました。ルールを理解しているなら、以前と同じになるはずなのに、ゲームマスター・バトラの生み出したベアトリーチェの振る舞いは、素直で甲斐甲斐しく、彼女は彼をお父様と呼んで慕います。

 これはベアトリーチェの構成要素うち、紗音の戦人へ恋心の擬人化、それもバトラの考える紗音の恋心だからです。バトラは彼女の6年間の苦悩を理解できません。これは、男性だから(性差、個人差)、1986年10月6日に記憶喪失になってしまってから、という二つの理由があると思われます。

・姉ベアトリーチェとは何か
 一方、新しきベアトリーチェは自身をベアトリーチェの卵、あるいは雛と捉え、バトラの期待する以前のベアトリーチェになるために努力を始めます。彼女はバトラを慕い、尽くし、いつかバトラに自分を認めて欲しいと願っていたからです。以前のゲームマスターのベアトリーチェの行ったゲーム盤の物語を読み、その後の、誰もいなくなった肖像画の前で、彼女は自分とそっくりの、ゲーム盤の中のベアトリーチェにそっくりな古風な話し方をした女性と出会います。彼女もまた、自身をベアトリーチェと名乗ります。二人はそれぞれ、お互いに自身の欠落を見出し、二人で一つになり、一なるベアトリーチェになることを目指します。雛ベアトリーチェのことがあとで生まれた、ということから肖像画で出会ったロングヘアを結わずに垂らしたブレザー姿の女性は姉ベアト、雛ベアトリーチェは彼女から妹と呼ばれるようになります。妹は姉に魔法の手ほどきをうけ、カップの中にキャンディーを生み出す手品の練習をします。それは、かつて真里亞にキャンディーを与えたのと同じ魔法でした。

 姉ベアトリーチェとは、六軒島の魔女伝説の擬人化です。EP7によれば、紗音は魔女ベアトリーチェを名乗り、真里亞に手品を披露し、魔女と認められるという描写があります。
 魔女伝説は紗音が幼い時から六軒島に存在するもので、EP6では悪食島の幽霊が次第に魔女伝説に変わっていったという描写があります。
 EP7によれば、この姉ベアトリーチェの外見は紗代が魔女ベアトリーチェとして振舞っていたときの戦人と親密になり、肖像画が掲げられる前のものと同一でした。

・GMバトラの苦悩
 以前の魔女とは違う姿にバトラは彼女に苛立ち、どうして自分の生み出したベアトリーチェは以前のようにならないのだと苦悩します。
 そこで、彼はひとりきりの部屋で、ベアトリーチェや煉獄の七姉妹を始めとした魔女の眷属たちを呼び出し、自身の悩みを打ち明けます。ひとりきりの彼の部屋に現れたベアトリーチェの亡霊は、「彼女を妾と思わずに、死して妾が残した忘れ形見、つまり娘と思え」と言いました。バトラはこの言葉に感銘を受け、新しきベアトリーチェとの接し方を改めます。

 これは、そのままその後、八城十八となった未来の戦人と思われます。彼は、その後、伊藤幾九郎◯七五六としてインターネットに偽書を発表します。記憶喪失になった十八の中に残っている戦人のそれは、断片的なものしかなく、六軒島の事件はただただ恐ろしいく、事件の真相に迫っていくだけでも様々な苦労があったのではないかと想像できます。
 自身を右代宮戦人と思えない彼は、彼の親族や想い人のことを勝手に書いてしまうことも憚れれることだったかもしれません。とにかく、死んでしまった安田紗代と面白おかしく六軒島事件を発表する世間と戦うため、執筆しようと決意するだけでも、それは大変なことだったと思います。
 また、EP3からEP5と同名のタイトルの偽書がインターネットに発表されたとEP6にありました。EP3のベアトリーチェはEP2までの残酷さや魔女らしい古風さが強調されていました。EP3からのベアトリーチェはそれを残しつつも、残酷というよりただ乱暴な言葉づかいや、「戦人に認めてほしい気持ち」が強調され、EP2までのそれより女性らしいキャラクターとして描かれます。お淑やかな性格より、ラフな性格の女の子が好き、という戦人の好みもこのキャラクターに反映されています。
 これこそが、紗代と戦人(十八)の共同幻想のベアトリーチェで、順番的には十八が一番最初に苦労した部分なのではないかと思われます。



■ゼパルとフルフルの恋の試練
・黄金蝶のブローチ
 EP2に、ベアトリーチェが紗音に黄金蝶のブローチを与え、譲治との恋を励ました、というエピソードがあり、EP6ではそのブローチを紗音が嘉音に譲ります。嘉音は、このEP6で朱志香への好意をはっきりと紗音に示します。
 恋を成就させるには、魔法が必要なのです。そのための鍵が、このブローチ。嘉音が踏んで割ったので、紗音・嘉音は1つずつ持ち合っているといい、再び一組の姿に戻せば、家具とニンゲンが結ばれる奇跡の力を、再び蘇らせると語ります。また、この魔法は雛ベアトリーチェにも享受できると姉ベアトリーチェは語ります。
 この説明とともに、「恋の試練」がはじまり、ゼパルとフルフルという二人の悪魔が登場します。

 戦人が無礼な客人をからかってやろうと音頭をとって始めたのがEP6のゲーム盤の内容です。魔女から碑文の謎を解けという手紙は届かず、その代わりに開催されるのがこの恋の試練です。
 EP4までのベアトリーチェのゲーム盤とは違い、これこそが安田紗代の内面の葛藤として描かれます。すべての恋は実るチャンスは平等であると示される点も他のEPとは大きく異なる点です。

・恋の試練、第一の晩
 恋の覚悟があるなら誰か一人殺してこい、とゼパルとフルフルに言われた若者たちはそれぞれ、試練を達成します。雛ベアトリーチェもこの試練を受け、戦人への気持ちを誤魔化さないと認めます。


 ゲーム盤での内容は、譲治は絵羽を、朱志香は霧江を、嘉音(もしくは紗音)は楼座と真里亞、戦人は夏妃に声掛けをし、戦人自身は客室で死んだふりをします。

「ゼパルとフルフルに聞いた。……おかしなゲームが始まっているようだな。」
「は、はい…。勝手なことをしてすみません……。」
「いや、いい。そういう無軌道で何を始めるかわからないところも、実にお前らしい。
……それにその、…まぁ、ゲームの趣旨も聞いてる。二人一組で挑むのが正しいことになってるらしいな。




 また、このセリフから、このゲームはGMバトラの主催で無いことも判ります。このEP6においては、安田紗代は自分の葛藤に自分自身で決断していきます。これこそが、戦人の紗代へのメッセージではないかと思います。

・恋の試練、第二の晩
 第一の試練は全員が合格でした。その後、ヱリカの出してきた青き真実を赤き真実で否定出来ないバトラは時間の止まった客室に一人で閉じ込められ、雛ベアトリーチェとは離れ離れになってしまいます。これをきっかけに、雛ベアトリーチェはこの恋の試練への出場資格を失います。
 雛ベアトリーチェは恋の試練の場所に居ながらも、気がかりはバトラのことでした。彼を密室から救うには、残りの恋人達をみるといいというゼパルとフルフルの進言を受け、決闘を観戦します。結果は紗音の勝利で、それを受けて、嘉音と雛ベアトリーチェは消えてしまいます。状況を受け入れる嘉音ですが、雛ベアトリーチェは何のことだか理解できません。彼女の何よりの疑問は、どうして自分が右代宮戦人が好きなのか、ということでした。バトラをお父様と呼んだ彼女は“お母様”という存在に問いかけをします。
 “お母様”は信託と呼べる言葉を雛ベアトリーチェに授けます。彼女はどうして自分が戦人が好きなのか、姉ベアトリーチェは何なのか知ります。そして魔女の姿勢と話し方を嘉音に教わり、彼の助けも得られることとなりました。
 いつまでたっても客室から出てこないバトラに痺れを切らし、ベルンカステルはヱリカの後見人となり、彼女に真実の魔女になってこのゲーム盤の領地を全て相続しては、と申し出ます。そのためにはバトラと婚姻をして、領主の指輪を得るべきだと主張し、結婚式の準備をラムダデルタと共に進めます。
 ベアトリーチェはかつてのゲームマスターとしての貫禄を取り戻し、嘉音の助力を経て、古戸ヱリカの結婚式に乱入し、決闘を申し込みます。ヱリカはベアトリーチェに破れ、退場します。

 ゲーム盤で行われた内容としては、紗音が戦人を助けに行ったという内容になります。(赤字の抵触等については偽書作家テストをご参照ください)自身の恋する気持ちを一つにした安田紗代ですが、このドッキリの音頭の取っている戦人の指示以外で、自分の準備した内容のトリックを使い、不可解な事件を起こす、魔女幻想の担い手となりました。はっきりと紗代がもう一度、共同幻想による「魔法」を使った瞬間でもあります。
 雛ベアトリーチェの擬人化の元であった、戦人の思う、紗音の恋心に紗代自身が魔法を使ったことに寄るリンクが生まれ、これが雛ベアトリーチェが受けた信託のようなものの正体ではないかと思います。
 つまり、この瞬間、魔女幻想の担い手は戦人から紗音になりました。これを経て、ベアトリーチェは復活したのです。

・ベアトリーチェの復活、黄金郷
 古戸ヱリカとベアトリーチェの対決、その勝利を受け、結婚式はベアトリーチェとバトラのものとなり、二人は結婚します。ベアトリーチェの領主の指輪はバトラのものとなり、ベアトリーチェは領主夫人となりました。二人は永遠の愛を誓い合います。
 嘉音はバトラを救出したことで叙勲を受け、朱志香との仲を認められ、また、ゼパルとフルフルの試練を耐えぬいた譲治と紗音も受勲を受け、婚姻を認められました。

 爆発し、死後の世界での様子となります。黄金郷で幸せになる、という記述は何度かありましたが、具体的に3組のカップルが誰とも破綻せず描かれる様子が初めて描かれました。
 EP7でも、ベアトリーチェはきっと満足して眠りについただろうというワルギリアの言葉と、Dawnの本を棺に収める戦人の姿が描かれました。

■八城十八と縁寿
 偽書など、EP8に続く、1998年の世界を考える上で、様々な設定が出てきます。
 ただ、縁寿はこの物語の内容に納得が出来ません。黄金郷でみんなが幸せに、と物語が語っても、縁寿の所に誰も家族は帰ってこないからです。

Honeymoon of golden witch 〜恋愛小説End〜

 私の名前はベアトリーチェ。黄金郷の領主夫人。そして、私の持つ名はただ、この一つだけ。私は今、一糸纏わず姿で、自宅のバスローブに浸かっている。色とりどりの薔薇の花びらが湯船に浮かぶ。地上では贅沢なのかもしれないけど、私の家では庭に当たり前にあって、この湯船も毎日のようにそうしている、当たり前のものだ。
 最近は一日の終わりにお湯を張った湯船に浸かって、一日を振り返るのが日課になった。この瞬間は、ただのベアトリーチェに戻って、今日起こった色々なことを整理している。明日何をしようとか、今日、誰かに言ったあの言葉は、本当にあれで良かったのかな、とか。体が暖かくなって、無心にマッサージしたり体を洗ったりしていると、それだけでネガティブな気持ちが晴れて、大抵のことは「まっいいか」で流せるようになってくる。
 でも、一番時間を割くのは、彼のこと。私の恋人で旦那さんの戦人さんのことだ。彼と一緒に居ると、彼の優しさと明るさで自分の心が解れていくのを感じる。でも、それ以上に実感するのは、自分の心がこれほどまでに凝り固まっていたということで……自分一人だけだった時には判らなかった。彼と居ると、自分の心の闇が、自分が思っているよりずっと深いことを突き付けられる。だけど、彼はどうやら、そこまで含めて、私にとことん付き合ってくれるらしい。
 ……私はそこまで価値がある女じゃないけど。彼が私を求めてくれるなら、彼の、戦人さんの理想のお嫁さんになりたい。彼が私に望むことはただ一つ。身も心も、彼のものになることだ。彼の腕の中にいると、彼のことしか見えなくなって、彼のことしか考えられなくなって、気が付くといつも、彼を求めてしまう。……いや、そういう意味じゃなくて。一般的な尺度で見たら、痴女みたいなことは何もしてませんよ……妾達、健全に付き合ってますから……。でも、戦人さんってリアクションがすごくいいから、ついつい、色々したくなっちゃう……。男の人にこういうことを言うのは失礼かもしれないけど、本当に、可愛いと思います。私も、近いうちに、本に出てくるベアトリーチェみたいに、エロエロになっちゃったりして……。引く?女の子がこんなに積極的なのって、おかしいですか……?
 そういう雰囲気になることは何度もあったけど、まだ、そういうの関係にはなってない。私達は、ただの戦人とベアトリーチェで、私は恋が出来ない体なんかじゃなくて、私達が夫婦だって言われても。あなたはこんなに私のために色々と考えてくれているのに、私はこんなに不甲斐ない妻でごめんなさい。あなたに、お料理やお掃除をしてあげたいと昔は思っていたけど、今はそれも叶わない。だからこそ、頑張らなくちゃいけない。それは判っているんだけど……。女の自分からはどうしても切り出せなくて、律儀に彼とのキスを数えてしまう。矛盾しているようだけど、これが私の真実。
 だから、今年のクリスマスには期待してる。キリスト教は昔ちょっと信仰してたから、お遊びに使うの気が引けるけど、25日は家で家族と過ごせば、24日は日本式に彼氏とイチャイチャしててもバチは当たらないなァ?付き合って半年くらいのカップルが、ドキドキしながら初体験をするのが由緒正しいクリスマス・イブの過ごし方なのだろォ?……とか言っておけば、誰も文句は言ってこないと思う。
 目は口よりも物を言うとはよく言ったもので、彼の熱い視線を受けると、自分が魅力的な女の子だと錯覚する。いや、それは語弊がある。自分が本当に絶世の美女なのだと確信する。……今笑った? ……っていうか、こういう方が引く? やっぱり少しでも可愛いって思って欲しいから、自分の服装のセンスも彼の好みに寄っていってしまう。男の子は女が思ってるよりシンプルなファッションが好き、なんて友達に聞いてたけど、その情報は当たっているかも。最近は、暇さえあれば、鏡の前で一人でファッションショーしてる。それに、彼から、あれ読め、これやれって色々宿題も出されるから、時間はいくらあっても足りないのだ。
 かつての私と時を同じくしていた彼・彼女は、新しい人生を始めている。私にも勿論、私だけの人生が待っている。だけど、今の私はただ、あなたとのキスを数えたい。

BOOTH通販始めました

BOOTHでC88,07th Party 4で頒布してものについて、通販を行っています。
https://umezawareport.booth.pm

同人誌「Honeymoon of golden witch」の感想をまとめました

同人誌を読んでくださった方からたくさんの感想をいただきました、ありがとうございます!
この実況ツイート自体が読み物としても面白いので、ブログの方にも掲載させていただきます。

実況・あるるかんの「Honeymoon of golden witch」 http://togetter.com/li/745598
実況・糸吉結の「Honeymoon of golden witch」 http://togetter.com/li/745581
実況・長谷川さよりの「Honeymoon of golden witch」 http://togetter.com/li/749663
実況・ことんの「Honeymoon of golden witch」 http://togetter.com/li/818326
実況・たけぽんの「Honeymoon of golden witch」http://togetter.com/li/883208
実況・島田の「Honeymoon of golden witch」http://togetter.com/li/895817
実況・Long28の「Honeymoon of golden witch」http://togetter.com/li/906763
感想・ボル箱の「Honeymoon of golden witch」と補足http://togetter.com/li/973555

また、自分自身でもメイキングとして実況を行いました。
メイキング・梅沢菜摘の「Honeymoon of golden witch」 http://togetter.com/li/893621

この他にも、単体のツイートで感想をくださった方、イベントのサークルスペースで直接感想をくださった方、本当にありがとうございます!
総合訪問者数
プロフィール

梅沢 菜摘

Author:梅沢 菜摘
ツイッターでの考察などをまとめてます。リンクは自由ですが、無断転載はご遠慮願います。

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